「E.T.」や「インディ・ジョーンズ」シリーズなど一連のスティーブン・スピルバーグ監督作品をはじめ、「スター・ウォーズ」や「ハリー・ポッター」シリーズなど数々の映画音楽を手がけてきた作曲家のジョン・ウィリアムズ(John Williams)がコンサート音楽や映画音楽のスコア、作曲のスケッチブックを母校であるニューヨークのジュリアード音楽院に寄贈することになった。
米国での報道によると、6日にロサンゼルスで行われた特別卒業生イベントの席で明らかにされたもの。寄贈に当たって本人は「私がピアノの初心者として育んだ当初から、ジュリアード・スクールを、私たちの国とそれ以外の国の音楽研究のメッカとして見てきました。 特に映画のスコアリングの親密なプロセスに興味のある学生が利用できるようにすることは私の特権です」と語っている。
一方、ジョセフ・W・ポリシ(Joseph W Polisi)理事長は「ジョンは長年にわたり素晴らしい友人であり、同僚でした。彼の芸術性、創造性、そして無限の想像力は、私たちの時間の中で最も賞賛され、尊敬されるミュージシャンの一人になっています。彼の贈り物は、学校のすべてのミュージシャンにとって、特に作曲家としてのジョンの幅広さと多様性を最初に学ぶことができる作曲家のためのユニークな資料となるでしょう」と謝辞を述べている。
ウィリアムズは1932年、ニューヨーク生まれの86歳。カリフォルニア大学ロサンゼルス校で亡命ユダヤ系イタリア人作曲家のカステルヌオーヴォ=テデスコに師事したが、徴兵されて空軍音楽隊に所属。兵役を終えた55年、ジュリアード音楽院ピアノ科へ進学し、名伯楽のロジーナ・レヴィン(故・中村紘子の師)に師事した経歴を持つ。その後、ジャズ・ピアニストなどを経て、作曲活動を中心にしてきた。
アカデミー賞の受賞は5回(作曲賞4回・編曲賞1回)。発表されたばかりの2018年のアカデミー賞の作曲賞にも「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」がノミネートされて、ノミネート記録を現役の映画人の中で最も多い51回に更新したばかり。オリンピックのテーマ曲を4大会で作曲した他、米国タングルウッド音楽祭でボストン・ポップス・オーケストラの音楽監督を14シーズン務めるなど、指揮者としても活動していた。
昨年1月には、英国のミラー紙の取材に対し、「どの『スター・ウォーズ』も見ていない」と発言。「映画館に行って、映画を見たいという衝動を感じたことがない。おかしいと感じるかもしれないが、自分が作曲した音楽を聴きたいと思うことはめったにないね」と告白して話題をさらったことも。取材に対し、映画の作曲期間には全身全霊を傾けるものの、いったん完成してしまえば興味を失ってしまうと述べ、「過去の作品のほとんどは特に記憶に残るような作品ではないと思う」と語っている。
ニューヨーク発 〓 作曲家ジョン・ウィリアムズが自作のスコアなどすべてを母校ジュリアード音楽院に寄贈
2018/03/07
【最終更新日】2018/07/23
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