NHK交響楽団の桂冠名誉指揮者で、昨年7月に90歳を迎えたヘルベルト・ブロムシュテットが我が国の音楽文化の向上及び発展に寄与したとして、日本政府の「春の叙勲」で「旭日中綬章」を受章することになった。NHK交響楽団の指揮者としては1986年、もう一人の桂冠名誉指揮者である故ウォルフガング・サヴァリッシュ(1923 – 2013)が同じ「旭日中綬章」を受章している。
「春の叙勲」は政府が29日に発令したもの。各界で功労のあった4151人が受章、うち外国人は62の国や地域から140人。ブロムシュテットの他、去年のノーベル文学賞を受賞した小説家のカズオ・イシグロが「旭日重光章」を、ユニセフ(=国連児童基金)アジア親善大使で歌手のアグネス・チャンが「旭日小綬章」を受章した。
ブロムシュテットは1927年、米国生まれのスウェーデン人指揮者。1954年に本格的にデビューした後、ヨーロッパを中心に活躍。ドレスデン・シュターツカペレの首席指揮者(1975 – 1985)、サンフランシスコ交響楽団の音楽監督(1985 – 1995)、北ドイツ放送交響楽団の首席指揮者(1995 – 1998)、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席指揮者(1998年から2005年)など、名門のポストを歴任。2010年代に入ってから、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮する機会が増えている。
日本へは973年、東ドイツ時代のドレスデン・シュターツカペレ日本公演に同行して初来日。NHK交響楽団との初共演は1981年で、これまで150回以上の公演を指揮し、1986年から名誉指揮者、2016年からは桂冠名誉指揮者を務めている。東日本大震災の復興支援で、チャリティーコンサートを開いたこともある。
NHKの取材に対し、ブロムシュテットは「とても驚いた。これまでもデンマークやスウェーデンなどの国から勲章をいただいたことがあるが、最初はこれは何ごとか信じられなかった。とても名誉に感じている。オーケストラは私の家族のようなものだ。ともに音楽を愛し、改善点に向き合うことでより結束していける。日本の音楽家は質が高いし、テクニックもあり、一緒に演奏すると作品を理解して感情を込めて演奏をしてくれる」と答えている。
写真:Martin U.K.Lengemann
東京発 〓 ブロムシュテットが「春の叙勲」で「旭日中綬章」を受章
2018/04/30
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