ジョージアの首都トビリシ出身で米国在住のピアニスト、アレクサンダー・トラーゼ(Alexander Toradze)が10日、心不全で亡くなった。69歳だった。トラーゼは4月23日に行われたバンクーバー交響楽団のコンサートに出演、ショスタコーヴィチの協奏曲第2番を弾いている途中で心臓発作に見舞われながらも最後まで演奏。直後に緊急入院していた。
旧・ソ連時代のトビリシ国立音楽院の教授を務めた作曲家を父に、映画俳優を母に持ち、モスクワ音楽院を卒業。1977年の第5回「ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール」で第2位を獲得した後、母校のモスクワ音楽院で教職に就いたが、1983年に米国に亡命。1991年にインディアナ大学サウスベンド校の教授に就任した。
2017年に引退するまで続いた大学の講座には内外から学生が集い、指導者としての名声を確立。日本でも、NHKのピアノ講座「スーパーピアノレッスン」の講師を務めている。また、演奏家としては、プロコフィエフ、ラフマニノフ、ストラヴィンスキーなどをレパートリー中心に据え、ロシア音楽へのこだわりをみせた。
バンクーバー交響楽団米国の北西端に位置する州ワシントン州のバンクーバー拠点にした団体で、1972年の創設。1991年からスペイン出身のサルバドール・ブロトンス(Salvador Brotons)が音楽監督を務めており、23日の公演も彼が指揮している。
当時の現地での報道によると、23日の数日前からトラーゼは体調を崩していたが、新型コロナの検査を何度受けても陰性反応が出たことから出演。演奏前には場内にソリストの出演が急きょキャンセルされるかもしれない、とのアナウンスが場内に流された上、トラーゼは医師を伴ってステージに登場したという。
写真:Vancouver Symphony Orchestra
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訃報 〓 アレクサンダー・トラーゼ(69)ジョージア出身のピアニスト
2022/05/12
【最終更新日】2023/02/06
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