ベルリン発 〓 ソプラノのアンナ・トモワ=シントウがベルリン州立歌劇場の名誉会員に

2021/09/23

ソプラノ歌手のアンナ・トモワ=シントウ(Anna Tomowa-Sintow)がベルリン州立歌劇場(Staatsoper Unter den Linden)の名誉会員に選ばれた。トモワ=シントウはブルガリアのスタラ・ザゴラ生まれで、80歳の誕生日9月22日に伝達された。

トモワ=シントウは首都ソフィアの国立音楽学校で声楽とピアノを学び、16歳だった1957年に全国声楽コンクールで優勝。1965年にスタラ・ザゴラ劇場でチャイコフスキー《エフゲニー・オネーギン》のタチアーナを歌ってデビューした。

その後、ソフィア国立歌劇場に出演を重ねる一方、1967年からライプツィヒ歌劇場、1972年からベルリン国立歌劇場(現在のベルリン州立歌劇場)のメンバーとなり、モーツァルト、ワーグナー、ヴェルディ、プッチーニ、シュトラウスの作品を中心に東側を代表する歌手として活躍した。

国際的な舞台での活躍するきっかけは1973年、ザルツブルク音楽祭でカール・オルフの《時の終わりの劇》が世界初演された際、指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤンに抜擢されたこと。以後、カラヤンに重用され、約20の作品の録音に参加している。

カラヤンだけでなく、カール・ベーム、ウォルフガング・サヴァリッシュたちのも重用され、NHK交響楽団の常任指揮者を務めていたサヴァリッシュの招きで、1973年のNHKホールのこけら落とし公演に出演、初来日が実現した。

その後、西側の主要な歌劇場に次々に出演を果たし、メトロポリタン歌劇場でも7シーズン歌っており、世界的プリマ・ドンナとしての名声を確立。ウィーン国立歌劇場などから「宮廷歌手」の称号が贈られている。
きた。


リリックな声質は年を追うごとにドラマティックな深みを加え、1988年にはジェームズ・レヴァインとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と共演したリヒャルト・シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》がグラミー賞のオペラ部門賞を受賞している。

オペラの舞台を離れた後は、ヨーロッパでマスタークラスを開いて後進の指導に当たってきた。2013年にはリムスキー=コルサコフの《皇帝の花嫁》の公演に久々に出演、2017年には大改修工事を終えたベルリン州立歌劇場の再開場記念公演にも出演している。

写真:Bulgarian National Radio


    もっと詳しく ▷


関連記事

  1. ミネアポリス発 〓 オスモ・ヴァンスカがミネソタ管の音楽監督を退任

  2. バイロイト発 〓 バイロイト音楽祭が閉幕、今年はチケット完売

  3. ザルツブルク発 〓 ハイティンクがウィーン・フィルの名誉会員に

  4. ジュネーブ発 〓 第75回「ジュネーヴ国際コンクール」のチェロ部門で、ドイツ在住の上野通明が優勝

  5. エッセン発 〓 エッセン州がアールト音楽劇場の専属歌手三人に「宮廷歌手」の称号

  6. 訃報 〓 ジャンルイジ・ジェルメッティ(75)イタリアの指揮者

  7. ロサンゼルス発 〓 ロサンゼルス・フィルも入場時のワクチン接種証明の提示、マスク着用義務付け。シカゴも追随

  8. トーレ・デル・ラーゴ発 〓 プッチーニ・フェスティバル開催決定

  9. パリ発 〓 長引くスト、国立オペラの《セビリアの理髪師》も上演中止

  10. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が14日に特別コンサート、ウクライナへの連帯を全世界に発信

  11. ウィーン発 〓 アン・デア・ウィーン劇場が大規模改修工事で閉館、2024年秋にリーニューアル・オープン

  12. ロンドン発 〓 ヴィットリオ・グリゴーロ降板の裏にセクハラ

  13. ソフィア発 〓 国立歌劇場で新シーズン開幕、創立130周年

  14. ベルリン発 〓 作曲家のジョン・ウィリアムズが指揮者として今度はベルリン・フィルにデビュー

  15. モントリオール発 〓 モントリオール響の次期音楽監督にラファエル・パヤーレ

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。