ニューヨーク発 〓 ウクライナ人演奏家集めた「フリーダム・オーケストラ」が欧米をツアー

2022/05/03

ウクライナ人のトップレベルの音楽家を集めた「ウクライナ・フリーダム・オーケストラ」が結成され、ヨーロッパと米国ツアーを行うことになった。発案者はカナダ人指揮者のケリ・リン・ウィルソン(Keri-Lynn Wilson)で、オーケストラの首席指揮者も務める。ウィルソンはカナダ有数のウクライナ・コミュニティーを抱えるウィニペグの出身で、収益はウクライナの芸術家の支援に使われる。

オーケストラは、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場とポーランド国立オペラの協力を得て編成される。キエフ国立オペラ、ウクライナ国立交響楽団、リヴィヴ・フィルハーモニー管弦楽団、カーキフ・オペラの団員というウクライナの団体のメンバーに加え、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団、ベルギー国立オーケストラ、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団からの参加者も加わる。国家総動員令で戦闘に従事している演奏家にも、文化相から特別の出国許可が出されるという。

ツアーは7月28日のポーランド国立オペラからスタート。ロンドンの夏の音楽祭「BBCプロムス」に客演する他、ミュンヘン、ベルリン、ハンブルグを経て、エジンバラ国際芸術祭に参加、スコットランドのスネイプとフランスのオランジェ、アムステルダムと、ヨーロッパ各地を回る。その後、米国に向かい、ニューヨークのリンカーン・センターを経て、8月20日にワシントンのケネディ・センターというスケジュール。

プログラムはウクライナの作曲家ヴァレンティン・シルヴェストロフの交響曲第7番、ショパンのピアノ協奏曲第2番(ピアノはウクライナ人のアンナ・フェドローヴァ)を軸に、ブラームスの交響曲第4番またはドヴォルザークの交響曲第9番《新世界より》の組み合わせ。さらにウクライナ人ソプラノのリュドミラ・モナスティルスカがベートーヴェンのオペラ《フィデリオ》からレオノーレのアリアを歌う。

写真:Metropolitan Opera / Ken Howard


    もっと詳しく ▷


関連記事

  1. ミュンヘン発 〓 アレックス・エスポージトに「宮廷歌手」の称号

  2. ウィーン発 〓 国立歌劇場が新制作の《パルジファル》を18日にストリーミング

  3. ラスベガス発 〓 ラスベガス・フィルが芸術顧問に大御所レナード・スラットキン

  4. マドリッド発 〓 ドミンゴがSNSで新型コロナウイルス感染を明らかに

  5. パリ発 〓 ヴァイオリニストのルノー・カプソンに所得の過少申告で有罪判決

  6. ザルツブルク発 〓 ハイティンクがウィーン・フィルの名誉会員に

  7. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立歌劇場が13日、ドイツの歌劇場のトップを切って再開場

  8. ワルシャワ発 〓 台湾政府がショパン国際ピアノ・コンクールに抗議、国名表記めぐり

  9. リスボン発 〓 グルベキアン管の音楽監督にハンヌ・リントゥ、ロレンツォ・ヴィオッティの後任

  10. パリ発 〓 ガルニエ宮、バスティーユ歌劇場相次いで改修へ

  11. ロンドン発 〓 デイヴィッド・コーエンがロンドン響の首席チェロ奏者に

  12. マルチナ・フランカ発 〓 ヴァッレ・ディートリア音楽祭の次期芸術監督にセバスチャン・シュワルツ

  13. ミュルーズ発 〓 ヴァイオリンのクリストフ・コンツがフランス・ミュルーズ響の首席指揮者に

  14. クレモナ発 〓 ヴァイオリニストの横山令奈が地元の病院の屋上で世界に癒やしの調べ

  15. シカゴ発 〓 音楽監督の報酬、全米一位はシカゴ交響楽団のムーティ

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。