ニューヨーク発 〓 エマーソン弦楽四重奏団がリンカーンセンターでお別れコンサート

2023/10/30

アメリカを代表する弦楽四重奏団エマーソン弦楽四重奏団(Emerson String Quartet)が22日、ホーム・グラウンドでもあったニューヨークのリンカーンセンターでお別れコンサートを行った。活動は47年に及び、ドイツ・グラモフォン・レーベルと専属契約、過去6つのアルバムが米国のグラミー賞(最優秀室内楽録音賞)を受賞している。

創設メンバーはヴァイオリンがユージーン・ドラッカー、フィリップ・セッツァー、ヴィオラがグィルエルモ・フィグエロン、チェロがエリック・ウィルソンという顔ぶれで、その名前は、アメリカの詩人・哲学者ラルフ・ワルド・エマーソンに因んでいる。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが曲によって交代するのが大きな特徴としてきた。

活動の拠点はニューヨーク州で、陰影に富んだ表現と軽やかなリズム感を特徴とし、ドビュッシーやラヴェル、アイヴズ、バルトーク、ショスタコーヴィチ、バーバーなどの近現代作品を得意としており、1982年から1989年までリンカーン・センター室内楽協会の最初のレジデント弦楽四重奏団を務め、協会史上初めてベートーヴェン弦楽四重奏曲の全曲演奏に取り組み、6曲あるバルトーク四重奏曲全曲を一晩で演奏している。

現在のメンバーはドラッカー、セッツァーにヴィオラがローレンス・ダットン、チェロがポール・ワトキンスで、お別れコンサートでは、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番と大フーガ、これにシューベルトの弦楽五重奏曲 op.163を演奏した。五重奏には、1979年から2013年までメンバーだったチェロのデイヴィッド・フィンケルも演奏に加わった。

今後はグループでの演奏活動は行わないが、メンバーはそれぞれ個人としての演奏活動は続け、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校に設けられたエマーソン弦楽四重奏団研究所などで後進の指導を続ける。また、最後の1年間の活動はドキュメンタリーとしてリリースされる予定もある。

写真:Chamber Music Society of Lincoln Center / Da Ping Luo


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