モスクワ発 〓 パヴェル・コーガンがモスクワ国立響の芸術監督と首席指揮者を辞任、ウクライナ侵略受けて

2022/04/27

ロシアのモスクワ国立交響楽団が25日、指揮者のパヴェル・コーガン(Pavel Kogan)の芸術監督と首席指揮者辞任を発表した。オーケストラは退団の理由を「マエストロの個人的な決断」としているが、ロシアのウクライナ侵略が背景にあるとみられ、本人は3月初旬にロシアを出国しているという。コーガンは1989年から33年間その任にあった。

1952年、モスクワ生まれの70歳。父親はウクライナ・ドニプロペトロウスク出身の名ヴァイオリニスト、レオニード・コーガンで、名ピアニストのエミール・ギレリスの妹を母に持つ。母方もオデッサ出身で、父方、母方ともにユダヤ系ウクライナ人。

長じてモスクワ音楽院に進み、ヴァイオリンをユーリ・ヤンケレヴィチに師事。1970年のシベリウス国際ヴァイオリン・コンクールでは、リアナ・イサカゼと1位を分け合っている。その後、イリヤ・ムーシンとレオ・ギンズブルクに指揮法を学び、1972年にソビエト国立交響楽団で指揮者デビューした。

ヴェロニカ・デュダーロワの後を引き継いでから、モスクワ国立交響楽団とは世界55カ国以上にツアーを行い、マーラー交響曲全曲演奏でロシア国家賞を授与されている。1988年から1990年までクロアチアのザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者、1998年から2005年にかけて米国のユタ交響楽団の首席客演指揮者も兼任していた。

写真:Moscow State Philharmonic Society


関連記事

  1. ワシントン発 〓 ワシントン・ナショナル・オペラの音楽監督にロバート・スパーノ

  2. ベルリン発 〓 ベルリン州立歌劇場が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  3. ロンドン発 〓 ロンドン・フィルの首席ホルンに20歳のアンネマリー・フェデーレ

  4. ハノーファー発 〓 第12回「ヨーゼフ・ヨアヒム国際ヴァイオリン・コンクール」は二人が第1位を分け合う

  5. 訃報 〓 ブラムウェル・トーヴィー(69)英国の指揮者

  6. 訃報 〓 シルヴィア・ゲスティ(84)ハンガリーのソプラノ

  7. サンホセ発 〓 コスタリカ国立響の首席指揮者兼芸術監督にスペインのアンドレス・サラド

  8. シカゴ発 〓 シカゴ響が2022年1月の台湾、中国、日本ツアーの中止を発表

  9. シアトル発 〓 シアトル響の音楽監督にシャン・ジャン

  10. 台北発 〓 市立響の首席指揮者にアレクサンダー・リープライヒ

  11. バルセロナ発 〓 ロメア劇場が新しいロッシーニ・フェスティバル

  12. ザルツブルク音楽祭 〓 ハンガリーのガボール・カリ、第9回「ネスレ&ザルツブルク音楽祭青年指揮者コンクール」で優勝

  13. エディンバラ発 〓 エディンバラ国際フェスティバルも中止、8月開催で中止は初

  14. フランクフルト発 〓 フランクフルト歌劇場が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  15. ニューヨーク発 〓 ジュリアード音楽院が作曲科の科長ロバート・ビーザーをセクハラ疑惑で休職に

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。