英国のテノール歌手スチュアート・バロウズ(Stuart Burrows)が6月29日に亡くなった。92歳だった。英国のロイヤル・オペラをはじめ、世界的な歌劇場への出演を重ねるなど国際的な活躍を展開。BBC(英国放送協会)で自身の番組を持つなど国民的な人気を集めた。
南ウェールズのポンティプリッド近郊のシルフィニッド生まれ。トリニティ・カレッジで学んで教師の道に進んだが、1954年にウェールズの声楽コンクール入賞をきっかけに、1963年にウェールズ・ナショナル・オペラで《ナブッコ》のイスマエレ役を歌ってデビュー、プロ歌手としてのキャリアをスタートさせた。
その後、モーツァルト歌手として名声を博し、1967年にロイヤル・オペラにデビュー。その年の「アテネ・フェスティバル」に作曲家のストラヴィンスキーに招かれて《エディプス王》に出演、国際的な称賛を浴びた。1971年にはメトロポリタン歌劇場、1978年にはミラノ・スカラ座にもデビューしている。
モーツァルト以外にも、フランス物、イタリアのベルカント物を得意とし、ユージン・オーマンディやレナード・バーンスタイン、ゲオルグ・ショルティやズービン・メータなど著名な指揮者たちと共演を重ねている。また、1970年代から1980年代にかけて、1970年代から1980年代にかけてBBCに自身が出演する番組を持った。
録音も数多く残しており、ゲオルグ・ショルティの指揮で《チャイコフスキー《エフゲニー・オネーギン》、モーツァルト《魔笛》、コリン・デイヴィス指揮のモーツァルト《皇帝ティートの慈悲》、小澤征爾指揮のベルリオーズ《ファウストの劫罰》などの名盤も多い。2007年には大英帝国勲章オフィサー章(OBE)を授与されている。
写真:Decca
この記事へのコメントはありません。