訃報 〓 グレアム・ヴィック(67)イギリスの演出家

2021/07/18
【最終更新日】2023/02/06

イギリスの演出家グレアム・ヴィック(Graham Vick)が7月17日、新型コロナウイルス感染症による合併症で亡くなった。67歳だった。世界で最も活躍している演出家の一人。

リバプール近郊の港湾都市バーケンヘッド生まれで、マンチェスターの王立ノーザン音楽大学で学んだ。24歳だった1984年、スコティッシュ・オペラでホルストの室内オペラ《サヴィトリ》を手掛けて演出家デビューし、そのままスコティッシュ・オペラの演出陣に加わった。

1987年にはバーミンガム・オペラカンパニーを設立、自ら芸術監督に就任した。1989年にはロイヤル・オペラにデビュー。その後、著名な歌劇場で数多くの演出を手掛けてきた。1994年にはグラインドボーン音楽祭の芸術監督に就任、2000年まで務めた。

過去の作品の中では、パレルモのテアトロ・マッシモのワーグナー《ニーベルングの指環》、ベルリン・ドイツ・オペラのワーグナー《トリスタンとイゾルデ》、ミラノ・スカラ座のヴェルディ《オテロ》、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場のショスタコーヴィチ《ムツェンスク郡のマクベス夫人》などが高い評価を受けてきた。

ただ、代表作を挙げること自体が難しい多作家でもあり、今年のヴェルディ・フェスティバルの《仮面舞踏会》のように、既に演出に取り掛かっていたプロダクションもある。また、映像化されているプロダクションも数多い。

今年2021年の新年の叙勲で、大英帝国勲章2等勲爵士(KBE/DBE)に叙せられた他、2016年にロイヤル・フィルハーモニー協会の名誉会員の称号を授与されている。バーミンガム大学の名誉音楽教授も務めていた。

写真:Birmingham Opera Company


    もっと詳しく ▷








関連記事

  1. ミュンヘン発 〓 永田音響設計が「ガスタイク」の音響設計を担当

  2. ベルリン発 〓 州立歌劇場が5月1日までの公演をキャンセル、音楽祭「フェストターゲ」も中止

  3. ボゴタ発 〓 コロンビア大統領が劇場閉鎖などは6月からさらに18か月間必要と発言

  4. 訃報 〓 フレデリック・L・ヘムケ(83)米国のサクソフォン奏者

  5. ロンドン発 〓 「オペラ・アワーズ」2021を発表

  6. ミュンヘン発 〓 ラハフ・シャニがミュンヘン・フィルの首席指揮者に

  7. 訃報 〓 佐藤しのぶ(61)日本のソプラノ歌手

  8. ロンドン発 〓 指揮者のジャン・レイサム=ケーニックに14カ月の実刑判決、児童と性的コミュニケーションを取ろうとした3つの罪状で

  9. エッセン発 〓 ドイツの老舗音楽月刊誌「フォノ・フォルム」廃刊へ

  10. 東京発 〓 日本音楽財団がマリア・ドゥエニャスに1710年製ストラディバリウス「カンポセリーチェ」を貸与

  11. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルに初の女性コンサートマスター、第1ヴァイオリンのヴィネタ・サレイカ=フォルクナーが昇格

  12. ミラノ発 〓 スカラ座の次期総裁にフェニーチェ劇場総裁のフォルトゥナート・オルトンビーナ

  13. ロンドン発 〓 指揮者のサカリ・オラモがBBC響との契約を延長

  14. 東京発 〓 指揮者の小林研一郎にハンガリーの最高位の勲章「大十字功労章」

  15. ドレスデン発 〓 ドレスデン・フィルの次期首席指揮者にドナルド・ラニクルズ

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。