ロンドン発 〓 ピアニストの内田光子に「ウィグモア・ホール・メダル」

2021/06/09

ピアニストの内田光子(Mitsuko Uchida)に6月2日、ロンドンのウィグモア・ホール (Wigmore Hall) からホールへの長年の貢献に対し、「ウィグモア・ホール・メダル」が授与された。過去の受賞者にはアンドラーシュ・シフ、アンジェラ・ヒューイット、クリスティアン・ゲルハーヘル、スティーヴン・イッサーリス、フェリシティ・ロットたちがいる。

内田は静岡県熱海市生まれの72歳。父親が外交官だったことから12歳で渡欧、1961年からオーストリアのウィーン音楽院でリヒャルト・ハウザーに師事した。その後も、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリやヴィルヘルム・ケンプ、ニキタ・マガロフといった巨匠たちから薫陶を受けた。

ウィグモア・ホールにデビューしたのは1971年。前年のショパン国際ピアノ・コンクールで日本人歴代最高位である第2位に入賞、その才能に注目が集まっていた。1972年にはイギリスに拠点を移してヨーロッパを中心に活動をスタート。しかし、活動の場は広がらず、日本でも知名度が低かったことから不遇な時代をおくった。

そんな状況を一変させたのが、ウィグモア・ホールで1982年にスタートさせたモーツァルトのピアノ・ソナタ連続演奏会。これがロンドンの批評家から絶賛を浴びた。その後のイギリス室内管弦楽団を自ら指揮するモーツァルトのピアノ協奏曲の全曲演奏会も大成功。その全曲録音も実現し、名実ともに国際的な名声を確立した。

今年で開場120周年を迎えるホールは5月17日、コロナ禍を乗り越えて再開場を果たした。内田にとって飛躍の場となったホールとの関係は、デビューから50年という節目。メダルは2日に行われた内田のリサイタルの後、ホールのパトロンであるケント公爵エドワード王子より授与されたという。

写真:Wigmore Hall


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