訃報 〓 盛中国(77)中国のヴァイオリニスト

2018/09/10
【最終更新日】2023/02/17

中国を代表するヴァイオリニストの盛中国(せい・ちゅうごく、Sheng Zhongguo)が7日、心臓発作で急死した。77歳だった。文化大革命で西洋音楽が禁止される中、ヴァイオリン協奏曲《梁山伯と祝英台》の演奏を通して、音楽ファンのみならず、広く国民的に愛されたアーティストの一人。

1941年、重慶市生まれ。父は有名なヴァイオリニストの盛盛雪、母は声楽家の朱冰从で、11人の兄弟姉妹のうち、10人が音楽家となる一家に育った。北京の中央音楽学院附属中学で英才教育を受け、1960年からソ連に留学、モスクワのチャイコフスキー音楽院でレオニード・コーガンに師事した。1962年にはチャイコフスキーコンクールのバイオリン部門で特別栄誉賞を受賞している。

1964年に帰国。しかし、1966年から中国では文化大革命が始まり、西洋音楽の演奏を禁止されるという悲劇に見舞われる。音楽家への迫害も始まり、先輩たちの多くが演奏を禁じられ、職を失った。また、パリ留学を経て戦前から活躍し、初代の中央音楽学院の校長を務めた馬思聡(ば・しそう、Ma Sicong)が米国に亡命を余儀なくされ、師を失うという悲劇にも見舞われた。

しかし、文化大革命中も何占豪と陳鋼が作曲した《梁山伯と祝英台》の演奏は許されたことから、その演奏に打ち込むことで演奏活動を持続。その公演で広く国民的に愛された。夫人はピアニストの瀬田裕子で、おしどり夫婦で知られた。2014年には人民大会堂で開かれた建国65周年を祝う演奏会に夫婦で出演、中国国家交響楽団と共演するなど、最近まで旺盛な活動を展開していた。

写真:視覚中国


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