旧ソビエト連邦を代表するピアニスト、ドミトリー・バシキーロフ(Dmitri Bashkirov)が3月7日に亡くなった。89歳だった。演奏活動のかたわら、母校のモスクワ音楽院の教授を長く務め、世界的なピアノ・コンクールの審査員を歴任した。娘でピアニストのエレーナ・バシュキロワはギドン・クレーメルの元妻で現在はダニエル・バレンボイム夫人。
ソビエト連邦グルジア共和国(現在のジョージア)の首都トビリシ生まれ。トビリシ音楽院でアナスタシア・ヴィルサラーゼに師事した後、モスクワ音楽院で学び、1955年のロン=ティボー国際コンクールで一位なしの二位を分け合い、国際的な活躍をスタートさせた。
その滑らかで透き通るような音色、きらめくようなタッチで多くの音楽ファンを魅了。1968年にロシア功労芸術家の称号、1990年にロシア人民芸術家の称号を贈られている。また、名伯楽として知られ、アルカディ・ヴォロドスやダン・タイ・ソンら、世界的なピアニストを数多く育上げた。晩年にはマドリッドのソフィア王妃高等音楽院の教授も務めた。
写真:Kirill Bashkirov Photography
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