訃報 〓 ランド・バルトリーニ(87)イタリアのテノール歌手

2024/06/29

イタリアのテノール歌手ランド・バルトリーニ(Lando Bartolini)が28日、ピストイアの自宅で亡くなった。87歳だった。名歌手マリオ・デル・モナコを彷彿とさせる輝かしく、ドラマティックな声を持ち、1970年代から2000年代にかけて世界的に活躍した。

フィレンツェ近くのプラート生まれで、実家の織物工場で働いた後、1966年に米国フィラデルフィアに移住して機械関係の仕事に就いたが、1967年からバス歌手のニコラ・モスコーナに付いて改めて声楽を学び、1968年にフィラデルフィアのセント・ジョセフ大学劇場でプッチーニ《外套》のルイージ役を歌って歌手デビューした。

本格的なオペラ・デビューは1973年、バルセロナのリセウ大劇場でマスカーニ《イリス》のオーサカ役。その後、スイスのサンクト・ガレン劇場、ニューヨーク・シティ・オペラのスタッフとなり、1982年にはミラノ・スカラ座のヴェルディ《エルナーニ》のタイトルロールを歌ってデビューした。

1983年にはヴェルディ《アイーダ》ラダメスを歌ってヴェローナ音楽祭にデビュー。それを皮切りに1990年代まで、ラダメス、プッチーニ《トゥーランドット》のカラフ、レオンカヴァッロ《道化師》のカニオなどで出演を重ねた。

また、1985年にプッチーニ《ラ・ボエーム》のロドルフォを歌ってウィーン国立歌劇場にデビュー、翌年4月には歌劇場の日本公演でジュゼッペ・シノーポリ指揮のプッチーニ《マノン・レスコー》にデ・グリュー役で出演している。日本公演の直後にはプッチーニ《トスカ》カヴァラドッシ役でニューヨークのメトロポリタン歌劇場にデビューしている。

その後、1998年には、中国・北京の紫禁城で行われたフィレンツェ歌劇場の《トゥーランドット》公演に出演。65歳だった2002年には、新国立劇場のヴェルディ《イル・トロヴァトーレ》マンリーコを歌うなど、キャリアの後年までリリコ・スピントのドラマティックな声を保ち、世界各地の歌劇場に出演を重ねた。

生涯にラダメスは240回以上、カラフは179回、マンリーコは160回歌い、約40年のキャリアの中で49の役を演じている。国際的な名声を築きながらも飄々として大物ぶらず、指揮者、歌手仲間から愛されるキャラクターで知られた。

写真:Bayerische Staatsoper





関連記事

  1. 訃報 〓 ロバート・ヘイル(90)米国のバス・バリトン歌手

  2. 訃報 〓 間宮芳生(95)日本の作曲家

  3. パレルモ発 〓 マッシモ劇場が2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  4. 訃報 〓 ヘレナ・タッテルムスホヴァー(92)チェコのソプラノ歌手

  5. ミラノ発 〓 シャイー緊急搬送される、スカラ座で指揮の途中に

  6. ペーザロ発 〓 ロッシーニ・オペラ・フェスティバルが2025年の公演ラインナップを発表

  7. ミラノ発 〓 カウフマンがスカラ座の新シーズンの開幕を飾るヴェルディ《運命の力》を降板

  8. ミラノ発 〓 スカラ座が新シーズン、2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  9. トーレ・デル・ラーゴ発 〓 プラシド・ドミンゴがプッチーニ・フェスティバルのアカデミーの芸術監督に

  10. ローマ発 〓 イタリア、再びロックダウンへ

  11. 訃報 〓 アルトゥール・モレイラ・リマ(84)ブラジルのピアニスト

  12. 訃報 〓 ジュゼッペ・ジャコミーニ(80)イタリアのテノール歌手

  13. ミラノ発 〓 スカラ座の次期総裁にフェニーチェ劇場総裁のフォルトゥナート・オルトンビーナ

  14. 訃報 〓 ティト・デル・ビアンコ(88)イタリアのテノール歌手

  15. ベネチア発 〓 フェニーチェ劇場の音楽監督にベアトリーチェ・ヴェネツィ

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。