ミラノ発 〓 スカラ座博物館で巨匠演出家フランコ・ゼッフィレッリの回顧展がスタート

2022/11/09

ミラノ・スカラ座博物館で8日、「フランコ・ゼッフィレッリースカラ座の日々」展が幕を開けた。1923年2月12日で生誕100年となる不世出の演出家を振り返る大規模な回顧展で、8月31日までの開催。スケッチ、衣装、写真などの展示の他、一緒に仕事をしたアーティストやたちの証言も交えたフランチェスカ・モルテーニのドキュメンタリー映画も流される。

戦後の演劇界を代表するゼフィレッリはフィレンツェ生まれで、2019年6月15日に96歳で亡くなった。仕立て屋の息子としてフィレンツェの英国上流階級の人々のコミュニティで育ち、第二次大戦直後、進駐してきたスコットランドの連隊の通訳を務めた際、空襲で瓦礫の山となったスカラ座を目撃したのが演出家を志したきっかけという。

22歳で巨匠ルキノ・ヴィスコンティのスタッフとして演劇界に入り、その後、映画監督として活躍。映画の代表作に1968年の「ロミオとジュリエット」、半自伝的作品とされる1999年の「ムッソリーニとお茶を」があり、2002年には最後の作品「永遠のマリア・カラス」を制作している。

その一方、著名な歌劇場、音楽祭でオペラの演出の数多く手掛け、スカラ座だけでも、1953年の《アルジェリアのイタリア人》の衣装から、2006年の《アイーダ》まで、その数21に上る。マリア・カラスが出演したロッシーニ《イタリアのトルコ人》、ヘルベルト・フォン・カラヤンが指揮した《ラ・ボエーム》、カルロス・クライバーとの《オテロ》、ロリン・マゼールとの《トゥーランドット》やリッカルド・ムーティとの《ドン・カルロ》といった記念碑的な作品も多い。

写真:Teatro alla Scala / Brescia – Amisano


  もっと詳しく ▷


関連記事

  1. ロサンゼルス発 〓 夏の風物詩「ハリウッドボウル」も開催中止

  2. バーデン=バーデン発 〓 ベルリン・フィルがバーデン=バーデン・イースター音楽祭との契約を延長

  3. ローマ発 〓 カウフマンが初のカラフ役、パッパーノと《トゥーランドット》全曲録音へ

  4. ミラノ発 〓 スカラ座のコンサート、ハーディングの代役になんと、バレンボイム

  5. ロンドン発 〓 クラシック音楽界の5つのレーベルがウクライナ人道支援のための募金活動

  6. マチェラータ発 〓 スフェリステリオ・オペラ・フェスティバルが2020年のプログラムを発表

  7. サモーラ発 〓 サモーラ歌劇祭が近隣の相次ぐ森林火災でオペラ上演を来年に延期

  8. ペーザロ発 〓 ロッシーニ・オペラ・フェスティバルが2022年の公演ラインナップを発表

  9. パリ発 〓 ロン・ティボー・クレスパン国際音楽コンクールのピアノ部門で日本人が1、2位独占

  10. アムステルダム発 〓 コンセルトヘボウがリベンジへ、来年5月に「マーラー・フェスティバル」

  11. ザールブリュッケン発 〓 ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルの首席指揮者にジュゼップ・ポンス

  12. ニューヨーク発 〓 エマーソン弦楽四重奏団がリンカーンセンターでお別れコンサート

  13. ロサンゼルス発 〓 映画『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の作曲家が降板、後任になんとハンス・ジマー

  14. 台北発 〓 インバルが台北市立響と契約更改、2025年まで任期を延長

  15. ジュネーブ発 〓 スイス・ロマンド管弦楽団がジョナサン・ノットとの契約を延長、任期に期限なし

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。