訃報 〓 ラルス・フォークト(51)ドイツのピアニスト

2022/09/06
【最終更新日】2023/02/05

ドイツのピアニスト、ラルス・フォークト(Lars Vogt)が5日、がんで亡くなった。51歳だった。2021年3月にがんが見つかって以来、闘病生活を続けていた。3週間前にはがんの治療と演奏活動についてメディアの取材に応えていた。

1970年、ドイツ・デューレンの生まれ。1990年の「リーズ国際ピアノ・コンクール」で第2位を獲得したが、審査員を務めた指揮者のサイモン・ラトルが彼の第1位を主張したこともあって話題を集めた。その後、主要オーケストラとの共演に加え、ソロや室内楽で旺盛な活動を展開。時代考証を踏まえた新鮮な解釈を確かなテクニックが支える演奏スタイルで高い評価を得てきた。

また、1998年にはケルンに近いハイムバッハにあるアール・ヌーボー様式の水力発電所を使った室内楽の音楽祭「シュパヌンゲン」を創設した。2003/2004年のシーズンには、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団初の「ピアニスト・イン・レジデンス」に任命されている。2015年には英国のロイヤル・ノーザン・シンフォニアの、2020年にはパリ室内管弦楽団の音楽監督に就任、活動の場を広めていた。

一方で、音楽教育にも情熱を注ぎ、2005年にはドイツやオーストリアの子どもたちのところに一流の音楽家たちを派遣する教育プログラム「ラプソディ・イン・スクール」を創設。2013年には、師であるカール=ハインツ・ケマーリングの後任として、ハノーファー音楽大学のピアノ科の教授に就任して後進の指導に当たっていた。

写真:Giorgia Bertazzi


  音楽祭プロフィールはこちら ▷


関連記事

  1. ワルシャワ発 〓 ピアノの名門「ベヒシュタイン」が50年ぶりにショパン国際ピアノ・コンクールの舞台に

  2. モスクワ発 〓 ヴァイオリニストのアナスタシア・チェボタリョーワが逮捕 !?

  3. パンプローナ発 〓 パンプローナに新しい音楽祭が誕生

  4. ミラノ発 〓 ウクライナ領事、スカラ座に《ボリス・ゴドノフ》の上演取り止めを要請

  5. ベルリン発 〓 バレンボイム、80歳記念コンサートもキャンセル

  6. ベルリン発 〓 ベルリン放送響が2020/2021シーズンのラインナップを発表

  7. ロサンゼルス発 〓 ロサンゼルス・オペラが2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  8. ボストン発 〓 アンドリス・ネルソンスが1月、手兵のボストン響と2週間でベートーヴェン交響曲全曲演奏

  9. 松本発 〓 小澤征爾が4年ぶりにサイトウ・キネン・オーケストラを指揮、演奏は宇宙の若田光一飛行士へライブ配信

  10. ワルシャワ発 〓 第18回「ショパン国際ピアノ・コンクール」でカナダのブルース・リウが優勝。日本勢は2位に反田恭平、小林愛実が4位に入賞

  11. ナポリ発 〓 サン・カルロ劇場が2021/2022シーズンの公演ラインナップを発表

  12. アムステルダム発 〓 コンセルトヘボウが5月いっぱい閉鎖、「マーラー音楽祭」もお流れ

  13. トリノ発 〓 アンドレア・バッティストーニがテアトロ・レッジョの音楽監督に

  14. 訃報 〓 ソフィア・グバイドゥーリナ(93)ロシア出身の作曲家

  15. ナント発 〓 国立ロワール管が新シーズンのラインナップ発表を見送り

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。