訃報 〓 伊藤京子(94)日本のソプラノ歌手

2021/08/02
【最終更新日】2023/02/06

ソプラノ歌手の伊藤京子が7月25日、老衰のため94歳で亡くなった。戦後のオペラ界を代表する歌手の一人で、数多くの作品に出演。その後、後進の指導に尽力し、日本演奏連盟理事長など音楽団体の要職も歴任して音楽界に大きな足跡を残した。

静岡県掛川市出身で、本名は長谷川京(はせがわ・きょう)。東京音楽学校(現在の東京芸術大学)で学び、1949年の日本音楽コンクールで第1位を獲得、静岡繋がりから「第二の三浦環」などと呼ばれて注目を集め、プロ歌手の道へ進んだ。

翌1951年、「東京オペラ協会」の旗揚げ公演で、日本初演されたプッチーニ《トゥーランドット》のリュー役を歌ってオペラ・デビュー。その後、その後、ヴェルディ《椿姫》のヴィオレッタなどのヒロイン役を数多く歌い、華々しい活躍を続けた。中でも、團伊玖磨《夕鶴》のつう役は当たり役として知られる。

その後、国立音楽大学で後進の指導に尽力、同時に日本演奏連盟理事長をはじめとする音楽団体の要職も歴任した。故郷の静岡では、三浦環没後50周年を記念して1996年に創設された「静岡国際オペラコンクール」の審査委員長、県民オペラ芸術監督も務めた。日本芸術院会員。1988年に紫綬褒章。

写真:Mt. Fuji International Opera Competition of Shizuoka


関連記事

  1. ロイトリンゲン発 〓 ヴュルテンベルク・フィルの首席指揮者にアリアーヌ・マティアク

  2. 別府発 〓 第22回のアルゲリッチ音楽祭は来年にそのまま延期

  3. ベルゲン発 〓 ベルゲン・フィルがオンライン音楽祭「ウィンターメッツォ」をスタート

  4. 訃報 〓 マーティン・ロヴェット(93)英国のチェロ奏者、アマデウス弦楽四重奏団のメンバー

  5. バイロイト発 〓 リヒャルト・ワーグナー記念館が《さまよえるオランダ人》の直筆楽譜を初公開

  6. ワイマール発 〓 演出家のアンドレア・モーゼスがワイマール国民劇場のオペラ監督に

  7. アムステルダム発 〓 ロレンツォ・ヴィオッティがオランダ国立オペラ、オランダ・フィルの首席指揮者を退任

  8. ミラノ発 〓 スカラ座がストリーミング配信の次期ラインナップを発表

  9. チューリッヒ発 〓 チューリッヒ歌劇場の古楽オーケストラ「シンティラ管」の芸術監督にリッカルド・ミナーシ

  10. ニューヨーク発 〓 新制作《魔笛》指揮のナタリー・シュトゥッツマンがメトロポリタン歌劇場管に謝罪、自身の発言めぐって

  11. 京都発 〓 京都市響が常任指揮者の沖澤のどかとの契約を延長

  12. 訃報 〓 ミシェル・ルグラン(86)フランスの作曲家

  13. ゲイツヘッド発 〓 ノリントンが王立ノーザン・シンフォニアを指揮して引退コンサート、ライブ・ストリーミングも

  14. ヘルシンキ発 〓 シベリウス国際ヴァイオリン・コンクールが開催延期を発表

  15. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立歌劇場が2021/2022シーズンの公演ラインナップを発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。