ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)が今年の「ヨーロッパ・コンサート」の開催地を変更すると発表した。当初はウクライナのオデーサで行われる予定だった。ロシアのウクライナ侵略で開催できないため、会場がラトビア西部バルト海沿岸の都市リエパーヤの「グレート・アンバー・コンサートホール」に変更される。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の「ヨーロッパ・コンサート」は1991年、ヘルベルト・フォン・カラヤンの後、首席指揮者・芸術監督に就任したクラウディオ・アバドのアイデアで創設されたもの。楽団の創設記念日である5月1日に毎年、ヨーロッパ各地のホールや歴史的建造物で行われてきた。
会場変更だけでなく、プログラムも変更。ウクライナの作曲家ヴァレンティン・シルヴェストロフによる《弦楽オーケストラのためのエレジー》、ラトビアのペテリス・ヴァスクスによる《ムジカ・ドローローサ》、シベリウスの《フィンランディア》を取り上げ、ウクライナへの連帯を示したいという。
また、コンサートにはウクライナ同様、旧・ソ連かの独立を果たしたラトビア出身のメゾ・ソプラノ、エリーナ・ガランチャも出演。ベリオが作曲したメゾ・ソプラノとオーケストラのための《民謡》を歌う。コンサートの指挥は首席指揮者のキリル・ペトレンコ。
ガランチャは2月24日にロシアのウクライナ侵略が始まった直後の28日、自身のFacebookへの投稿で侵略を激しく非難、ロシアでは今後出演しないことを明らかにして、いち早くロシアへの抗議の声を上げたアーティストの一人。
…… ガランチャの投稿
親愛なる皆様へ
先週の木曜日、ウクライナへの攻撃の初日に、私は今後ロシアでのコンサートから完全に撤退したことをお知らせします。
民主的で独立した国家であるウクライナ、そしてヨーロッパの開かれた社会全体に対してロシア政権が行った犯罪的戦争に照らして、私の名前をその国のイベントに関連づけることは無責任であり、非常に不道徳であると思います。
私は、たとえプーチンとその政権を支持する人々が、オープンで正直な声明を出せないという罠にはまったとしても、支持することはできない。
ラトビア人である私は、侵略と占領が何であるかを知り、母親である私は、子供たちに道徳の意味を教え、私はウクライナの自由と独立のために声を上げて立ち上がるのです。戦争は解決策ではありません。
歴史が示すように、私たちはどの政治指導者のイデオロギーに従うかを選択することができますし、そうすべきです。
ウクライナとウクライナの仲間たちのために、私は心を痛めています!
ウクライナでの戦争にNO!
写真:Great Amber-Konzerthalle / Karlis Volkovskis
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