訃報 〓 ワルター・バリリ(100)オーストリア出身のヴァイオリニスト, ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の元コンサートマスター

2022/02/11
【最終更新日】2023/02/06

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Vienna Philharmoniker)のコンサートマスターを務めたワルター・バリリ(Walter Barylli)が亡くなった。100歳だった。オーケストラの主要メンバーを集めたバリリ弦楽四重奏団を率い、格調高い上品なアンサンブルでを築き上げて、ベートーヴェンやモーツァルトの演奏に一時代を築いた。

1921年、ウィーン生まれ。ウィーン音楽アカデミーでフランツ・マイレッカーに師事、ミュンヘンでフロリツェル・フォン・ロイターの指導も受けた。1936年にミュンヘンでデビューを飾り、1938年9月1日に17歳の若さでウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団、11月1日に国立歌劇場管弦楽団を母体とするウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に入団した。

コンサートマスター昇格は1939年。オーケストラでの活動と並行して、独奏者としても活躍した。バリリが弦楽四重奏団を結成したのは第2次世界大戦直後の1945年で、1959年に右腕麻痺に冒されて解散するまで、ウィーンの演奏の伝統と彼の個性を融合した格調高い上品なアンサンブルを築き上げた。

また、1966年から1969年までオーケストラの楽団長を務め、1969年からウィーン音楽院で後進の指導に尽力した。右腕麻痺の悪化で1972年に若くして引退を余儀なくされたが、その後も長くマスタークラスや室内楽のクラスなどで後進の指導に当たった。息子はオーストリアの俳優で劇作家のガブリエル・バリリ。

写真:Vienna Philharmoniker


関連記事

  1. ベルリン発 〓 ウラディーミル・ユロフスキがベルリン放送響の演奏会でウクライナ国歌を演奏、連帯のメッセージ送る

  2. プラハ発 〓 プラハ交響楽団の次期首席指揮者にトマーシュ・ネトピル

  3. ドルトムント発 〓 市の音楽総監督に指揮者のジョーダン・デ・スーザ

  4. アムステルダム発 〓 指揮者のエド・デ・ワールトが引退を発表

  5. アムステルダム発 〓 オランダ国立オペラの次期首席指揮者にロレンツォ・ヴィオッティ

  6. 訃報 〓 グラハム・クラーク(81)英国のテノール歌手

  7. パレルモ発 〓 ピアノのプレトニョフ、カワイのスペシャル・モデル盗まれる

  8. ハノーファー発 〓 第12回「ヨーゼフ・ヨアヒム国際ヴァイオリン・コンクール」は二人が第1位を分け合う

  9. ヘルシンキ発 〓 シベリウス・コンクールがロシア人二人の参加を取消

  10. 訃報 〓 カミラ・ウィックス(92)米国のヴァイオリン奏者

  11. ローマ発 〓 ローマ歌劇場が「カラカラ浴場」での公演を再開、2022年の夏から

  12. ブレゲンツ発 〓 ブレゲンツ音楽祭がフィンランド国立歌劇場の芸術監督リリ・パーシキヴィを次期芸術監督に

  13. 東京発 〓 日本音楽財団がマリア・ドゥエニャスに1710年製ストラディバリウス「カンポセリーチェ」を貸与

  14. 東京発 〓 第34回「高松宮殿下記念世界文化賞」の音楽部門に米国のトランペッター、ウィントン・マルサリス

  15. グラフェネック発 〓 乗馬学校を「ルドルフ・ブッフビンダー・ホール」に改修、グラフェネック音楽祭に第3のホール

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。