訃報 〓 テオ・アダム(92)ドイツのバス・バリトン歌手

2019/01/12
【最終更新日】2023/02/16

ドイツが生んだ世界的なバス・バリトン歌手テオ・アダム(Theo Adam)が10日、ドレスデンで亡くなった。92歳だった。「宮廷歌手」を持ち、ウィーン国立歌劇場やバイエルン州立歌劇場など世界の主要歌劇場に出演を重ねた。

1926年、ドレスデンの生まれ。少年時代の1937年から地元の聖十字架教会合唱団に所属。その後、「宮廷歌手」のルドルフ・ディートリッヒに声楽を師事。1949年に旧東独時代のドレスデン国立歌劇場のメンバーとなり、ウェーバー《魔弾の射手》の隠者役を歌ってオペラ・デビューした。

1952年、世界大戦後再開の2年目のバイロイト音楽祭に《ニュルンベルグのマイスタージンガー》オルテル役を歌ってデビュー。音楽祭では《ローエングリン》のハインリヒ王、《ニュルンベルクのマイスタージンガー》のザックス、《パルジファル》のアムフィオルタスなどの役を歌ったが、中でも《ニーベルングの指環》のヴォータン役は高い評価を獲得、バイロイトでは12年にわたって歌い続けた。

1953年にベルリン国立歌劇場のメンバーに。翌年にはフランクフルト歌劇場と客演契約を結び、国際的な活躍が始まる。1955年に「宮廷歌手」の称号を受章。1967年以降、世界の主要歌劇場に出演を重ねた。

80歳を迎えた2006年10月30日、オペラ・デビューの場だった旧ドレスデン国立歌劇場(現在のザクセン州立歌劇場)の《魔弾の射手》に出演して現役を引退した。生涯に歌った役柄は100を超えるという。1967年、バイロイト音楽祭の引越公演の一員として初来日。《ワルキューレ》のヴォータンを歌って絶賛を浴びた。以降、オペラ、リサイタルで来日を重ねた。

写真:Bayreuther Festspiele / Hansjoachim Mirschel


関連記事

  1. ボーフム発 〓 ルール・トリエンナーレも中止を発表

  2. フィレンツェ発 〓 フィレンツェ歌劇場が新制作の《リゴレット》をライブ・ストリーミング、ヌッチ、カマレナ出演

  3. 東京発 〓 久石譲が新作交響曲を自ら世界初演、創立50周年を迎える新日本フィルの2021/2022シーズンのオープニング・コンサートで

  4. グラーツ発 〓 オクサーナ・リーニフが劇場との契約を延長せず

  5. ワルシャワ発 〓 「ショパン国際ピアノ・コンクール」本選進出者12人決まる、日本からは小林と反田

  6. ドレスデン発 〓 ティーレマンが復活祭時期に新しい音楽祭 !?

  7. 訃報 〓 ヘルムート・ヴィンシャーマン(101)ドイツの指揮者・オーボエ奏者

  8. リガ発 〓 マルタン・エングストロームがラトビアに新しい音楽祭を創設

  9. 訃報 〓 ラファエル・ロハス(59)メキシコ出身のテノール歌手

  10. ロンドン発 〓 ウィグモア・ホールが全公演をキャンセル、閉鎖は7月末まで

  11. シオン発 〓 ティボール・ヴァルガ国際ヴァイオリン・コンクールが閉幕

  12. インディアナポリス発 〓 準・メルクルがインディアナポリス響の音楽監督に

  13. ストックホルム発 〓 ピアノのイゴール・レヴィットがノーベル賞の授賞式で演奏

  14. ボストン発 〓 ヘンデル・ハイドン協会が次期芸術監督に英国の指揮者ジョナサン・コーエン

  15. バイロイト音楽祭 〓 キャスト交代を発表、《ワルキューレ》のブリュンヒルデはイレーネ・テオリンの代役にキャサリン・フォスターが出演

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。