ドイツ・ハンブルグ市が街ゆかりのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の半生を描いたオペラの制作に乗り出す。ピーター・チェンチャー市長が市の文化予算から1200万ユーロを拠出することを発表した。作曲者は発表されていないが、オペラは第8代ドイツ連邦共和国首相、「世界で最もパワフルな女性」として経済危機や難民問題、コロナ禍の中での活躍を描くという。
メルケル首相は1954年7月17日、ハンブルク生まれ。ただ、生まれて数週間後でプロテスタントの牧師だった父親ホルスト・カスナーが東ドイツ勤務となり、一家でクヴィツォウ(現ベルレンブルク)に移住した。その後、一家はベルリン近郊のテンプリンに移り、長じてライプツィヒのカール・マルクス大学で物理学を学んだ。
1977年、23歳で楽友のウルリッヒ・メルケルと学生結婚。翌年、ベルリンの科学アカデミー付属物理化学中央研究所に配属された。女性の学術助手はただ一人で、1981年に離婚。1986年に研究所で博士号を取得、1990年の東西ドイツ再統一の過程で研究所が解体されるまで所属していた。
政治の道に入ったきっかけは1989年のベルリンの壁崩壊。その年の年末に新政党「デモクラシーの勃興=DA」へ入党。それが解党されると、1990年に「キリスト教民主同盟=CDU」に入党、そこでコール首相に抜擢されたことを足場に大きく飛躍、51歳だった2005年に歴代最年少、女性初、東ドイツ出身者として初の首相に就任した。
発表によると、オペラには”ハートの首相”という仮のタイトルが付けられており、政治の道に入ってからの描写が中心。1998年にはベルリンのフンボルト大学教授でノーベル賞の候補者に名前が上がる著名な量子化学者ヨアヒム・ザウワーと再婚しているが、プライベートなことはあまり描かれないという。
オペラはハンブルグだけでなく、母校の高校があるテンプリンでの野外公演、選挙区であるメクレンブルク=フォアポンメルン州の夏の音楽祭でも上演が予定されている。首相は毎年のようにバイロイト音楽祭に出掛けているオペラ好きで、自身がオペラの題材に選ばれたことをとても喜んでいるという。
写真:Bundesregierung / Steffen Kugler
ハンブルグ発 〓 ハンブルグ市がメルケル首相をテーマにしたオペラを制作
2021/04/03
【最終更新日】2021/04/07
- コメント: 0
この記事へのコメントはありません。