訃報 〓 ゼフランコ・ゼフィレッリ(96)イタリアの映画監督、演出家

2019/06/16
【最終更新日】2023/02/16

映画監督、オペラ演出家として世界的な活躍を続けたフランコ・ゼフィレッリ(Franco Zeffirelli)が15日、ローマにある自宅で亡くなった。96歳だった。2020年にはオマーンの首都マスカットにある王立オペラ(Royal Opera House Muscat)で、ヴェルディ《リゴレット》の演出を手掛けることが決まっていた。

ゼフィレッリは1923年、イタリア中部フィレンツェの生まれ。仕立て屋の息子としてフィレンツェの英国上流階級の人々のコミュニティで育ち、ルキノ・ヴィスコンティのスタッフとして演劇界に入った。映画の代表作に1968年の映画「ロミオとジュリエット」、半自伝的作品とされる1999年の「ムッソリーニとお茶を」があり、2002年には最後の作品「永遠のマリア・カラス」を制作している。

オペラの演出でも知られ、豪華絢爛で、ステージに多くの人間を登場させて「マス」として動きを作り出すダイナミックな舞台で世界的な歌劇場を席巻。日本でも新国立劇場の1998年の開場記念公演《アイーダ》も手掛けた。メトロポリタン歌劇場の《トゥーランドット》、ミラノ・スカラ座の《アイーダ》など、名作の上演はいまでも各地で続いている。

また、1994年にはベルルスコーニ元首相の率いる中道右派政党から出馬して上院議員も務めた。プライベートでは、ゲイであることを公にしており、2016年には、イタリアの歴史家による研究チームが発表した「レオナルド・ダ・ヴィンチの存命する血縁者」の中の約35人の中の一人であると報じられた。

写真:Fainello / Fondazione Arena di Verona


関連記事

  1. 訃報 〓 ガブリエル・フムラ(74)ポーランドの指揮者

  2. リヨン発 〓 ソプラノのナタリー・デセイ、2025年をもってクラシック音楽界からの引退を発表

  3. マンハイム発 〓 マンハイム国民劇場が新制作の《さまよえるオランダ人》をストリーミング配信

  4. ロンドン発 〓 ロイヤル・オペラの首席客演指揮者にスペランツァ・スカップッチ

  5. コンスタンツ発 〓 南西ドイツ・フィルハーモニー管が新しい“シェフ”探し

  6. ウィーン発 〓 指揮者のフランツ・ヴェルザー=メストがウィーン・フィルの名誉会員に

  7. ウィーン発 〓 国立歌劇場が代役を確保できず、アリベルト・ライマンの《メデア》の再演を断念

  8. マンチェスター発 〓 空席だったBBCフィルハーモニックの首席指揮者にヨン・ストルゴールズ

  9. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立オペラが新制作の《トリスタンとイゾルデ》を31日にライブ・ストリーミング

  10. ウェリントン発 〓 ニュージーランド響の次期首席指揮者にジェンマ・ニュー

  11. ロンドン発 〓 エンシェント室内管の音楽監督にローレンス・カミングス

  12. ニューヨーク発 〓 ヴァイオリンのヒラリー・ハーンが年内の出演をすべてキャンセル、復帰時期は未定

  13. クリーブランド発 〓 フランツ・ウェルザー=メストのキャンセルでイゴール・レヴィットも降板、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏で

  14. ウィーン発 〓 新装なったアン・デア・ウィーン劇場が技術的な理由でまた舞台上演を断念

  15. ウィーン発 〓 国立歌劇場がポネル演出の《フィガロの結婚》をライブ・ストリーミング

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。