オーストリアのバリトン歌手ハラルド・セラフィン(Harald Serafin)が15日に亡くなった。93歳だった。オペレッタ歌手として活躍後、テレビ・タレントとして国民的な人気を集め、1992年から20年にわたって芸術監督を務めたメルビッシュ湖上フェスティバル(Seefestspiele Mörbisch)を、オペレッタ上演の世界的聖地に育て上げたことで知られる。
1931年、リトアニア生まれ。ソ連の占領から逃れるため、戦後になって家族でドイツ・バンベルクに移住した。当初は医学の勉強を始めたが、音楽の道に進み、ベルリン音楽大学とニュルンベルク音楽院で学んだ。
その後、スイスとドイツで出演を重ね、チューリッヒ歌劇場が行ったボンドヴィル《ボヴァリー夫人》のテレビ録画で、アンネリーゼ・ローテンベルガーと共演して注目を集めた。その後、演出家のオットー・シェンクがヨハン・シュトラウスⅡ《こうもり》のアイゼンシュタイン役に起用したことでブレイク。シェンクが演出したフランクフルト市立歌劇場のレハール《メリー・ウィドウ》のダニロ役が大当たり。その後、世界中で1700回以上も歌うことになった。
また、テレビ番組の『ダンシング・スターズ』の審査員として広く一般に知られ、「ミスター・ワンダフル」として国民的な人気を獲得。歌手は1989年に声帯の手術を受けたことから引退。湖上フェスティバルの芸術監督としては、オペレッタの上演を通じて、毎夏の世界中から20万を集めるフェスティバルに成長させた。内外で受賞多数。
写真:Tomschi Peter
訃報 〓 ハラルド・セラフィン(93)オーストリアのバリトン歌手
2025/09/19
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