訃報 〓 ハラルド・セラフィン(93)オーストリアのバリトン歌手

2025/09/19

オーストリアのバリトン歌手ハラルド・セラフィン(Harald Serafin)が15日に亡くなった。93歳だった。オペレッタ歌手として活躍後、テレビ・タレントとして国民的な人気を集め、1992年から20年にわたって芸術監督を務めたメルビッシュ湖上フェスティバル(Seefestspiele Mörbisch)を、オペレッタ上演の世界的聖地に育て上げたことで知られる。

1931年、リトアニア生まれ。ソ連の占領から逃れるため、戦後になって家族でドイツ・バンベルクに移住した。当初は医学の勉強を始めたが、音楽の道に進み、ベルリン音楽大学とニュルンベルク音楽院で学んだ。

その後、スイスとドイツで出演を重ね、チューリッヒ歌劇場が行ったボンドヴィル《ボヴァリー夫人》のテレビ録画で、アンネリーゼ・ローテンベルガーと共演して注目を集めた。その後、演出家のオットー・シェンクがヨハン・シュトラウスⅡ《こうもり》のアイゼンシュタイン役に起用したことでブレイク。シェンクが演出したフランクフルト市立歌劇場のレハール《メリー・ウィドウ》のダニロ役が大当たり。その後、世界中で1700回以上も歌うことになった。

また、テレビ番組の『ダンシング・スターズ』の審査員として広く一般に知られ、「ミスター・ワンダフル」として国民的な人気を獲得。歌手は1989年に声帯の手術を受けたことから引退。湖上フェスティバルの芸術監督としては、オペレッタの上演を通じて、毎夏の世界中から20万を集めるフェスティバルに成長させた。内外で受賞多数。

写真:Tomschi Peter



関連記事

  1. 訃報 〓 ソフィア・グバイドゥーリナ(93)ロシア出身の作曲家

  2. 訃報 〓 リアナ・イサカーゼ(78)ジョージアのヴァイオリニスト

  3. 訃報 〓 ロバート・ウィルソン(83)米国の演出家

  4. ウィーン発 〓 ウィーン放送響が首席指揮者のマリン・オールソップとの契約を延長

  5. ウィーン発 〓 ウィーン・フィルのサマー・ナイト・コンサート、今年はトゥガン・ソヒエフが指揮

  6. 訃報 〓 イゴール・オジム(92)スロヴェニア出身のヴァイオリニスト

  7. ウィーン発 〓 バルトリが国立歌劇場にデビュー!

  8. ウィーン発 〓 楽友協会がウィーン・フィルのコンサート・スケジュールを発表

  9. ウィーン発 〓 ウィーン・フィルによる恒例のクリスマス・コンサート中止へ

  10. 訃報 〓 フリードリヒ・チェルハ(96)オーストリアの作曲家

  11. ザルツブルグ発 〓 モーツァルト週間が2025年の公演ラインナップを発表

  12. ウィーン発 〓 オーストリア造幣局がザルツブルク音楽祭100周年記念銀貨を発行

  13. ウィーン発 〓 国立歌劇場、2月第1週のストリーミング配信のラインナップを発表

  14. ウィーン発 〓 フォルクスオーパーが2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  15. ブレゲンツ発 〓 ブレゲンツ音楽祭、2021年のスケジュールを発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。