ルーマニア出身のソプラノ歌手ヴィルジニア・ゼアーニ(Virginia Zeani)が20日、米国のフロリダで亡くなった。97歳だった。1950-80年代に国際的に活躍、中でもヴェルディ《椿姫》のヴィオレッタ役が当たり役で、生涯に650回近く歌っている。引退後は米国で数多くの名歌手を育てた。
ルーマニア西部ソロバストルの生まれで、ヴィルジニア・ゼハン(Zehan)。幼い頃から合唱団で歌い、ブカレストで学んだ後、第二次世界大戦後になってイタリアに移住、ミラノで指揮者アントニオ・ナルドゥッチとテノール歌手アウレリアーノ・ペルティーレに師事した。
1948年、ボローニャ歌劇場でマルゲリータ・カロージオの代役としてヴィオレッタ役を歌ってオペラ・デビュー。1952年には、フィレンツェ歌劇場でマリア・カラスの代役に立ち、ベッリーニ《清教徒》のエルヴィーラ役を歌って注目を浴びた。
その後、著名な歌劇場を席巻。1956年にはミラノ・スカラ座のヘンデル《ジュリアス・シーザー》でクレオパトラ役を演じ、そこで共演したトルコ出身のイタリア系バス歌手のニコラ・ロッシ=レメーニと翌年に結婚した。1991年に夫が亡くなるまでおしどり夫妻として知られた。
レパートリーは幅広く、ヴェルディ、プッチーニ、ジョルダーノ、オッフェンバック、ロッシーニ、ドニゼッティ、プーランクまで70近い役柄を歌っている。1957年1月にミラノ・スカラ座で行われたプーランクの《カルメル派修道女の対話》の世界初演にも加わり、ブランシュ・ド・ラ・フォルス役を歌っている。
オペラ出演からの引退は1982年。サンフランシスコ・オペラの《カルメル派修道女の対話》が最後の舞台となった。その後、米国で後進の指導に当たり、アンジェラ・ブラウン、ニコール・シュヴァリエ、ヴィヴィカ・ジェノー、シルヴィア・マクネアー、アイリン・ペレスなどを育てた。
写真:Virginia Zeani
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