デュッセルドルフ発 〓 アダム・フィッシャーが首席指揮者を務めるデュッセルドルフ響との契約を延長

2024/09/14

指揮者のアダム・フィッシャー(Ádám Fischer)が首席指揮者を務めるドイツのデュッセルドルフ交響楽団(Düsseldorfer Symphoniker)との契約を延長した。フィッシャーはアンドレイ・ボレイコの後任として2015年からその任にあり、今回の契約更改で任期は2025年から2030年まで延びる。

フィッシャーはハンガリー・ブダペスト生まれの75歳。バルトーク音楽院やウィーン国立音楽大学でハンス・スワロフスキーに学び、1973年の「グィード・カンテッリ指揮者コンクール」で最高位を獲得、その年にウィーン国立歌劇場にデビューしてから何度も客演を続け、2017年には名誉団員の称号を授与されている。

その後、カールスルーエ、グラーツの指揮者を経て、フライブルク市立劇場、マンハイム国民劇場の音楽総監督を歴任。2001年には急死したジュゼッペ・シノーポリの代役としてバイロイト音楽祭にデビュー、《ニーベルングの指環》を指揮して大成功を収めた。その後も2004年まで《指環》の指揮を託され、2006年と2007年には《パルジファル》を指揮している。

オペラ指揮者としての評価は高く、メトロポリタン歌劇場、バイエルン州立歌劇場、ミラノ・スカラ座、ロイヤル・オペラ、パリ・オペラ座といった著名な歌劇場に定期的に客演。2006年にはブダペストの芸術宮殿を使い、音楽祭「ブダペスト・ワーグナー・デイズ」を起ち上げている。また、2007年にはハンガリー国立歌劇場の音楽総監督に就任したが、保守政権の誕生を嫌い、2010年末に辞任している。

ハイドンのエキスパートとしても知られており、1987年にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーとハンガリーのオーケストラのメンバーでハイドン・フィルハーモニー管弦楽団を設立、レコーディングを重ねて交響曲全集を完成させている。また、1998年から芸術監督を務めるデンマーク室内管弦楽団とは、コペンハーゲンで「ハイドン・フェスティバル」を行っている。

デュッセルドルフ響はドイツで2番目に古い市立オーケストラ。本拠地トーンハレ・デュッセルドルフでのコンサート活動の他、ライン・ドイツ・オペラの演奏をデュイスブルク・フィルハーモニー管弦楽団と担っている。この12日には9日に75歳の誕生日を迎えたフィッシャーの指揮でお祝いのガラ・コンサートが行われ、公演後に市長から契約延長が発表された。

写真:Düsseldorfer Symphoniker / Susanne Diesner


関連記事

  1. パリ発 〓 アンサンブル・アンテルコンタンポランの次期音楽監督にピエール・ブリューズ

  2. ボストン発 〓 ネルソンズがボストン響、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管との契約を延長

  3. 東京発 〓 新日本フィルが2020/2021シーズンのラインナップを発表

  4. バイロイト音楽祭 〓 2021年のスケジュールを発表

  5. ワシントン発 〓 ケネディー・センターがナショナル響の楽団員をレイオフ

  6. トリノ発 〓 リッカルド・ムーティがストリーミングのための《コジ・ファン・トゥッテ》を指揮してトリノ歌劇場にデビュー

  7. スプリングフィールド発 〓 イリノイ響の音楽監督に日本生まれの福村太一

  8. ニューヨーク発 〓 ニューヨーク・フィルが2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表、次期音楽監督めぐり注目集める客演指揮者たち

  9. カトヴィツェ発 〓 ヨーロッパ最大のパイプ・オルガンが誕生、エサ=ペッカ・サロネンが自作のオルガン曲で祝福

  10. ウィーン発 〓 オーストリア政府がウィーン放送響の廃止否定の声明

  11. プラハ発 〓 チェコ・フィルのコンサートマスターにヤン・フィッシャー、オルガ・シュロウブコバの後任

  12. キール発 〓 キール歌劇場の音楽総監督にベンジャミン・ライナース

  13. パリ発 〓 ポリーニが再延期していたリサイタルを体調不良でキャンセル

  14. 訃報 〓 ジュゼッペ・ジャコミーニ(80)イタリアのテノール歌手

  15. フライブルク発 〓 市立劇場の次期音楽総監督にアンドレ・デ・リッダー

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。