マドリッド発 〓 ドミンゴ、セクハラを謝罪

2020/02/26

世界的オペラ歌手プラシド・ドミンゴ(Placido Domingo)が25日、自らのセクシャル・ハラスメント疑惑について声明を発表し、「(女性たちに)生じさせた苦しみを本当に申し訳なく思っていることを知ってもらいたい。私の行為に関する全責任を負う」と謝罪した。

ドミンゴに対するセクハラ疑惑は昨年8月、女性歌手の告発をもとにした米国のAP通信の報道で表面化。その後も告発は続き、少なくとも20人の女性から無理やりキスをされたり、体を触られたと訴えていた。

ドミンゴは疑惑を否定してきたが、疑惑が報じられると、米国の歌劇場、オーケストラではドミンゴの出演を取り消すところが続出。ドミンゴもロサンゼルス・オペラの総監督を辞任した。また、今年の東京五輪・パラリンピックの公式文化プログラムの出演も辞退している。

AP通信は25日、歌手らでつくる労組AGMA(The American Guild of Musical Artists)が弁護士に委託した調査結果を報道している。

調査では、ドミンゴがワシントンとロサンゼルスのオペラの監督を務めていた少なくとも約20年にわたり、25人以上が望まない身体的接触や深夜に自宅へ来るよう電話で求めるなどしたと認定しているという。

ドミンゴは現在、79歳。最近はテノールからバリトンに転身し、米国での出演がなくなった後もヨーロッパの歌劇場を中心に活動を続け、新しい役柄に挑戦するなど国際的な活動は続いている。1月末には日本でもコンサートを行っていた。

声明でドミンゴは「(断った女性のキャリアを傷つける)意図は全くなかったが、誰もそのように感じさせられるべきでない」とし「オペラの職場がより安全になることが私の強い願いだ」とも訴えている。

写真:astanaopera.kz

関連記事

  1. ブダペスト発 〓 ハンガリー放送響の次期首席指揮者にリッカルド・フリッツァ

  2. ブレーメン発 〓 市立劇場の次期音楽総監督にシュテファン・クリンゲレ

  3. ビリニュス発 〓 ヴァイオリンのヤッシャ・ハイフェッツ・コンクールで、スペインのハビエル・コメサーニャが優勝

  4. パリ発 〓 ゼネスト、パリ国立オペラを直撃

  5. パリ発 〓 11月開催のロン・ティボー・クレスパン国際音楽コンクールが早くも中止を決定

  6. ウィーン発 〓 国立歌劇場が3月第3週のストリーミング配信のラインナップを発表

  7. ベルリン発 〓 アルテミス弦楽四重奏団が活動休止を発表

  8. モスクワ発 〓 ボリショイ劇場が過去の公演をYouTubeで配信

  9. アテネ発 〓 国立歌劇場がオッフェンバック《ホフマン物語》をギリシャ初演へ

  10. ウィーン発 〓 カウフマンがフランスのレジオンドヌール勲章コマンドゥール章を受章

  11. コペンハーゲン発 〓 デンマークも劇場閉鎖

  12. ベルリン発 〓 復帰したブロムシュテットがベルリン・フィルの指揮台に。コンサートはストリーミング配信へ

  13. ドレスデン発 〓 指揮者のヤノフスキがドレスデン・フィルとの契約を延長

  14. ジュネーブ発 〓 国際音楽コンクール世界連盟がチャイコフスキー国際コンクールを追放

  15. ブリスベーン発 〓 オペラ・オーストラリアが《ニーベルングの指環》の新制作を延期、新型コロナの感染拡大受けて

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。