ニュルンベルク発 〓 演出家のペーター・コンヴィチュニー、初日前にまた解任される

2021/11/18

演出家のペーター・コンヴィチュニー(Peter Konwitschny)がまた解任された。今回の騒動の舞台は、ドイツのニュルンベルク州立劇場。新制作のヴェルディ《イル・トロヴァトーレ》を手掛けていたが、劇場の発表によれば、「リハーサル中に不適切で差別的なコメントをした」からという。

ドイツでの報道によると、コンヴィチュニーは合唱団のリハーサル中に有色の歌手に対して人種差別的な発言を行ったとされる。《イル・トロヴァトーレ》は11月13日が初日で、その直前の解任だったことから作業をアシスタントのマリー・クリスティン・リューリングが引き継ぎ、無事に初日を迎えている。

76歳のコンヴィチュニーは著名な指揮者を父に持ち、ドイツを代表する演出家の一人。モダニズム的、心理的な解釈でドイツ・オーストリア県で高く評価されてさまざまな劇場で話題作を数多く手掛けてきた。現在はライプツィヒ市立歌劇場の制作責任者を務めている。

強烈な個性を持つだけに周囲との摩擦も多く、2018年にはスウェーデンのエーテボリ歌劇場でムソルグスキー《ボリス・ゴドノフ》の新制作を手掛けていて、やはりスタッフへの発言が物議を醸し、初日を迎える前に解任されている。

次の大きな仕事は、ウィーンのフォルクスオーパーへのデビューともなる《ボリス・ゴドノフ》の新制作。初日は1月15日で、公演の指揮はヤク・ファン・ステーン、アルベルト・ペセンドルファーが主役ボリス・ゴドノフを演じる。

写真:Mupa Budapest


関連記事

  1. 訃報 〓 イヴリー・ギトリス(98)イスラエルのヴァイオリニスト

  2. ロンドン発 〓 名門「デッカ」がクラウス・マケラと契約、指揮者との契約は約40年ぶり

  3. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が14日に特別コンサート、ウクライナへの連帯を全世界に発信

  4. ローマ発 〓 カウフマンが新たに《オテロ》を録音

  5. 訃報 〓 シュテファン・ショルテス(73)ハンガリー出身の指揮者

  6. アケルスベルガ発 〓 アップル・ミュージックが創立50周年迎えたスウェーデンの名門レーベル「BIS」を買収

  7. パルマ発 〓 テアトロ・レッジョが《マハゴニー市の興亡》をストリーミング配信

  8. トロント発 〓 ピエチョンカが王立音楽院の声楽部門トップに

  9. ウィーン発 〓 フランツ・ウェルザー=メストが体調不良で国立歌劇場の新制作《魔笛》の指揮をキャンセル

  10. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルに初の女性コンサートマスター、第1ヴァイオリンのヴィネタ・サレイカ=フォルクナーが昇格

  11. パリ発 〓 パリ五輪の閉会式で、映画「パリのちいさなオーケストラ」のモデルとなったザイア・ジウアニ&ディヴェルティメント響が演奏

  12. フランクフルト発 〓 フランクフルト歌劇場が2019/2020シーズンの公演ラインナップを発表

  13. 訃報 〓 スティーヴン・ソンドハイム(91)アメリカの作曲家・作詞家

  14. ブダペスト発 〓 イヴァン・フィッシャーが失明の危機だったと告白

  15. ザルツブルク発 〓 暴力事件で謹慎中のガーディナー、来夏のザルツブルク音楽祭で現場復帰か?

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。