ウィーン発 〓 国立歌劇場が代役を確保できず、アリベルト・ライマンの《メデア》の再演を断念

2024/01/16

ウィーン国立歌劇場(Wiener Staatsoper)が1月下旬に予定していたアリベルト・ライマンの《メデア》の上演を断念すると発表した。タイトルロールを担う予定だったニコール・シュヴァリエが「深刻な家庭の事情により」降板、その代役が見つからないため、としている。

ライマンの《メデア》は2010年、ウィーン国立歌劇場で世界初演された作品。国立歌劇場がライマンに作曲を委嘱、オーストリアの劇作家フランツ・グリルパルツァーの三部劇詩『金羊皮』第3部「メデア」を原作にしている。台本をライマン自身が執筆、現代的な響きと古典的な音楽作法を融合させた作品で、代表作の一つでもある。

世界初演はマルコ・アルトゥーロ・マレッリが演出を手掛け、その年、ドイツのオペラ専門誌「オペルンヴェルト=Opernwelt」の「年間最優秀世界初演」に輝いており、今回の再演は1月21日、24日、27日に行われる予定だった。

ただ、国立歌劇場以外では、東京の日生劇場(2012)、ベルリンのコーミッシェ・オーパー(2017)でしか上演されたことがなく、今回起用されたシュヴァリエはコーミッシェ・オーパーの上演で主人公メデアを歌って高く評価され、第一人者と目されている。

劇場によると、その代役を務められる歌手は目下、世界に二人しかおらず、代役を打診したがそれぞれ予定が入っていたことから上演を断念せざるを得なかったという。国立歌劇場は、リヒャルト・シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》の上演に差し替えるという。

写真:Komische Oper Berlin


関連記事

  1. フランクフルト発 〓 バリトン歌手のヨハネス・マルティン・クレンツレが急性白血病を公表、当面の活動を休止

  2. 訃報 〓 ホセ・アントニオ・アブレウ(79)エル・システマの創設者

  3. ミラノ発 〓 スカラ座が2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  4. 訃報 〓 フランツ・マズラ(95)オーストリアのバス・バリトン歌手

  5. グラフェネック発 〓 乗馬学校を「ルドルフ・ブッフビンダー・ホール」に改修、グラフェネック音楽祭に第3のホール

  6. 訃報 〓 ミヒャエル・ハンペ(87)ドイツの演出家

  7. パリ発 〓 パリ五輪の閉会式で、映画「パリのちいさなオーケストラ」のモデルとなったザイア・ジウアニ&ディヴェルティメント響が演奏

  8. アムステルダム発 〓 ロイヤル・コンセルトヘボウ管に初の常任客演指揮者

  9. 訃報 〓 ガブリエル・バキエ(95)フランスのバリトン歌手

  10. ラスベガス発 〓 ラスベガス・フィルが芸術顧問に大御所レナード・スラットキン

  11. 訃報 〓 リナト・イブラギモヴァ(59)ロシア出身のコントラバス奏者、ロンドン交響楽団の元首席

  12. 大津発 〓 びわ湖ホールが《神々の黄昏》を無観客公演に、同時に無料ストリーミング配信

  13. ウェリントン発 〓 ニュージーランド響の次期首席指揮者にジェンマ・ニュー

  14. 東京発 〓 細川俊夫の《オーケストラのための『渦』》が第68回「尾高賞」に

  15. シカゴ発 〓 シカゴ響の大ベテラン二人が引退、在籍45年と39年

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。