ブダペスト発 〓 ハンガリー国立歌劇場が初の米国ツアー

2018/05/08

ハンガリー国立歌劇場が今年2018年秋、ニューヨーク公演を行うことになった。意外なことに初の米国公演。国立歌劇場は2018/2019シーズンに大規模な改修工事を行っており、ツアーはその期間を利用した引っ越し公演。総勢350人が現地入りして10月30日から11月11日にかけて公演を行い、4つのオペラ、3つのバレエを上演する。公演の会場となるのは、ディヴィッド・H・コーク劇場(David H. Koch Theater)。劇場はリンカーン・センター内にあり、ニューヨーク・シティ・バレエ、その後、ニューヨーク・シティ・オペラの本拠地として使われていた。

プログラムはハンガリーのオペラ中心。ツアーの開幕を飾るのは、エルケル・フェレンツ(1810 – 1893)作曲のオペラ《バーンク・バーン》。エルケルは王立歌劇場の初代音楽監督や王立音楽院の初代校長を務めた他、ハンガリー国歌(1844)も作曲しているハンガリーの国民的な作曲家で、《バーンク・バーン》は1861年に初演され、国立歌劇場のシーズン開幕で毎回上演されているが、もちろん、米国初演。

二つ目のオペラは、カール・ゴルトマルク(1830 – 1915)作曲の《シバの女王》。ゴルトマルクはワーグナーの影響を受けながら独学で作曲を学んだ、ハンガリー出身のユダヤ人作曲家。《シバの女王》は彼の最も有名な作品で、1875年にウィーンで初演されて好評を博し、1938年まで上演が続いていた。1885年には米国初演も実現、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で1906年まで上演されていた。

残りのオペラ二作品は、バルトーク・ベーラ(1881 – 1945)作曲の《青ひげ公の城》とハンガリーの現代作曲家ヤーノシュ・ヴォイダ(1949 – )作曲で1988年に初演された《マリオと魔術師》。《青ひげ公の城》はブダペストでの初演から100年を記念した上演で、トーマス・マンの小説をオペラ化した《マリオと魔術師》は米国初演となる。

バレエは《白鳥の湖》、《ドンキ・ショット》というクラシック・バレエに加え、ハンス・ファン・マネンによるコンテンポラリー作品。キャストについては、《バーンク・バーン》の主役をハンガリーを代表するテノール歌手のバルタザール・ラースローが歌い、米国デビューを飾ること以外は未発表。

写真:Hungarian State Opera

関連記事

  1. 広島発 〓 広島交響楽団が2019年度の公演ラインナップを発表

  2. ロンドン発 〓 クラリネットのアンドリュー・マリナーが引退

  3. ベルリン発 〓 ベルリン・ドイツ響の新しいコンサート・マスターにマリーナ・グローマン

  4. [ 新作オペラFLASH 2018 ]ザルツブルク音楽祭 〓 スペードの女王

  5. ニュルンベルク発 〓 演出家のペーター・コンヴィチュニー、初日前にまた解任される

  6. ヌスドルフ発 〓 作曲家ワーグナーの最後の孫が死去

  7. ウィーン発 〓 楽友協会のトーマス・アンギャン総裁が退任

  8. モスクワ発 〓 ボリショイ劇場が2018/2019シーズンのラインナップ発表

  9. ミュンヘン発 〓 ミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ・トリオ部門で、日本の「葵トリオ」が優勝

  10. ペーザロ発 〓 ロッシーニ・オペラ・フェスティバルが2020年の概要を発表

  11. ニューヨーク発 〓 レヴァイン、契約違反と名誉毀損でメトロポリタン歌劇場を提訴

  12. インスブルック古楽音楽祭 〓 2019年はオペラ3作品を上演

  13. タングルウッド音楽祭 〓 2018年の音楽祭のチケットを28日から券売

  14. サンクトペテルブルク発 〓 デュトワがサンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団の首席客演指揮者に

  15. パリ発 〓 ハーディングの後任にクラウス・マケラ、パリ管の次期音楽監督

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。