アムステルダム発 〓 オランダ国立オペラが新作の《トスカ》と《魔弾の射手》の無料ストリーミングを開始

2022/06/30

オランダ国立オペラが新作の無料ストリーミングを始めた。配信が始まったのは、バリー・コスキー演出のプッチーニ《トスカ》キリル・セレブレンニコフ演出のウェーバー《魔弾の射手》の2作品で、ともに鬼才が新演出を手掛けた話題作。《魔弾の射手》はロシアを出国してドイツに拠点を移したセレブレンニコフの、オランダ国立オペラ・デビューとなるプロダクション。

コスキー演出の《トスカ》は4月に公演が行われ、主役トスカにマリン・ビストレム、カヴァラドッシにジョシュア・ゲレーロ、スカルピアにゲヴォルグ・ハコブヤンを起用。ロレンツォ・ヴィオッティがネーデルラント・フィルハーモニー管弦楽団を指揮している。配信はZDFのホームページを通して行われ、9月16日まで視聴可能。

一方の《魔弾の射手》は、OperaVisionのYouTubeチャンネルを通して行われる。パトリック・ハーンがロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮した公演で、ベンヤミン・ブルンス、ヨハンニ・フォン・オオストラム、ギュンター・グロイスベック、ジェイムズ・プラット、イン・ファン他が出演している。9月25日まで視聴可能。

セレブレンニコフはプーチン政権を批判したことで国家予算横領の罪を問われ、2017年8月から2019年4月まで自宅軟禁状態に置かれたが、この4月に出国、今後はドイツを拠点に活動していくことを明らかにした。軟禁中もオペラの演出を続け、昨年4月にはウィーン国立歌劇場でワーグナーの《パルジファル》、今年1月にはバイエルン州立オペラでショスタコーヴィチの《鼻》を手掛けている。

また、監督した映画がカンヌ映画祭で話題をさらうなど、国際的に高い評価を受けており、最新作「インフル病みのペトロフ家」は日本で上演中。自宅軟禁中に脚本を書き、闇に隠れて撮影された作品で、2021年のカンヌ国際映画祭でフランス映画高等技術委員会賞に輝いている。

写真:Dutch National Opera &Ballet / Marco Borggreve


関連記事

  1. ベルリン発 〓 バレンボイムが一時的に現場復帰

  2. 訃報 〓 ベルナルト・ハイティンク(92)オランダの指揮者

  3. ロサンゼルス発 〓 ヒドゥル・グドナドッティルがゴールデングローブ賞の作曲賞を受賞

  4. ミュンヘン発 〓 ヤンソンス追悼演奏会はメータが指揮

  5. カゼルタ発 〓 ゲルギエフがイタリアの音楽祭に出演、西ヨーロッパ音楽界に復帰

  6. ダブリン発 〓 アイルランドのRTE国立響の首席指揮者にアレクサンダー・シェリー

  7. 訃報 〓 ルイ・アンドリーセン(82)オランダの作曲家

  8. ムンバイ発 〓 2024年の「オペラリア」は米国のソプラノ歌手キャスリーン・オマラ、中国のバス・バリトン歌手ル・ブが優勝

  9. ロサンゼルス発 〓 第62回「グラミー賞」決まる

  10. ウィーン発 〓 国立歌劇場が4月第3週のストリーミング・ラインナップを発表、新制作の《パルジファル》も

  11. 訃報 〓 盛中国(77)中国のヴァイオリニスト

  12. デトロイト発 〓 デトロイト響の次期音楽監督にヤデル・ビニャミーニ

  13. 訃報 〓 ピーター・ハーフォード(88)英国のオルガン奏者

  14. リガ発 〓 指揮者のカレル・マーク・チチョンがラトビア国籍を取得

  15. ハンブルク発 〓 NDRエルプフィルが首席指揮者のアラン・ギルバートとの契約を延長

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. 2022年 7月 01日