ニュルンベルク発 〓 演出家が歌手の代役 !?

2019/11/27
【最終更新日】2020/11/21

演出家が歌手の代役ー。ドイツ・ニュルンベルグ州立劇場(Staatstheater Nürnberg)で先日、代役の歌手の到着が公演ギリギリだったことから、演出家が舞台で演技するという“事件”が起きた。とんでもないことになったのは、ヨアナ・マルヴィッツ指揮の《ドン・カルロ》の公演。ドン・カルロを演じるはずのテノール歌手タデウシュ・シュレンキェル(Tadeusz Szlenkier)が当日になってキャンセルしたことで“事件”は始まった。

現地の報道では、劇場側はキャンセルをすぐに代役探しをスタート。ホフハネス・アイヴァジャン(Hovhannes Ayvazyan)を見つけ出したが、彼の到着が開演の2時間前。演技を教える時間がないため、演出家のイェンス=ダニエル・ヘルツォーク(Jens-Daniel Herzog)が舞台に立ってドン・カルロを演じ、アイヴァジャンは舞台袖で歌うことになったという。

ところが…。この夜の公演はなんとフランス語による上演。アイヴァジャンはイタリア語でしか歌ったことがなかったことから、彼はイタリア語で、他のキャストはフランス語で歌うという苦肉の策で乗り切ることになった。そんな壮絶な公演ながら、公演自体は白熱。終演後のカーテンコールでは、ヘルツォーク以下、ステージに登場したメンバーに盛大な拍手と歓声が飛んだという。

写真:Staatstheater Nürnberg / Ludwig Olah

関連記事

  1. ドナウエッシンゲン発 〓 音楽祭の開催中止を発表

  2. デュッセルドルフ発 〓 アクセル・コーバーが任期満了の2024年夏でライン・ドイツ・オペラの音楽総監督を退任

  3. ニュルンベルク発 〓 州立劇場がヨアナ・マルヴィッツに史上初の「名誉指揮者」の称号

  4. 訃報 〓 ドイツのホルン奏者(89)ヘルマン・バウマン

  5. レーゲンスブルク発 〓 台湾出身のチンジャオ・リンがレーゲンスブルク歌劇場の音楽総監督に

  6. ベルリン発 〓 バレンボイムが当面の演奏活動の休止を発表

  7. ロンドン発 〓 置き忘れたヴァイオリン、スティーブン・モリスに戻る

  8. リューベック発 〓 フルートのカラパノスに今年の「レナード・バーンスタイン賞」、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭

  9. ベルリン発 〓 ベルリン・ドイツ・オペラがワーグナー《リエンツィ》をストリーミング配信

  10. アルテンブルク発 〓 アルテンブルク・ゲラ劇場が音楽総監督のルーベン・ガザリアンとの契約を延長

  11. オスロ発 〓 ノルウェー放送管の次期首席指揮者にペトル・ポペルカ

  12. ブッパータール発 〓 オーストリアの若手指揮者パトリック・ハーンがブッパータール市との契約を延長

  13. ミュンヘン発 〓 青木尚佳がミュンヘン・フィル初の女性コンサートマスターとしてデビュー

  14. バイロイト発 〓 バイロイト音楽祭の《ワルキューレ》でヴォータン役のトマス・コニエチュニーが怪我で途中降板

  15. リューベック発 〓 クラリネットのサビーネ・マイヤーが来年で引退

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。