演出家が歌手の代役ー。ドイツ・ニュルンベルグ州立劇場(Staatstheater Nürnberg)で先日、代役の歌手の到着が公演ギリギリだったことから、演出家が舞台で演技するという“事件”が起きた。とんでもないことになったのは、ヨアナ・マルヴィッツ指揮の《ドン・カルロ》の公演。ドン・カルロを演じるはずのテノール歌手タデウシュ・シュレンキェル(Tadeusz Szlenkier)が当日になってキャンセルしたことで“事件”は始まった。
現地の報道では、劇場側はキャンセルをすぐに代役探しをスタート。ホフハネス・アイヴァジャン(Hovhannes Ayvazyan)を見つけ出したが、彼の到着が開演の2時間前。演技を教える時間がないため、演出家のイェンス=ダニエル・ヘルツォーク(Jens-Daniel Herzog)が舞台に立ってドン・カルロを演じ、アイヴァジャンは舞台袖で歌うことになったという。
ところが…。この夜の公演はなんとフランス語による上演。アイヴァジャンはイタリア語でしか歌ったことがなかったことから、彼はイタリア語で、他のキャストはフランス語で歌うという苦肉の策で乗り切ることになった。そんな壮絶な公演ながら、公演自体は白熱。終演後のカーテンコールでは、ヘルツォーク以下、ステージに登場したメンバーに盛大な拍手と歓声が飛んだという。
写真:Staatstheater Nürnberg / Ludwig Olah
ニュルンベルク発 〓 演出家が歌手の代役 !?
2019/11/27
【最終更新日】2020/11/21
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