グラインドボーン発 〓 代役の呼び寄せに音楽祭がヘリコプターを手配、老舗の貫禄

2022/06/24

英国のグラインドボーン・フェスティバル・オペラ(Glyndebourne Festival Opera)で21日、代役のテノール歌手がヘリコプターで駆け付け、第2幕から出演するというスリリングな騒動が起きた。

騒動が起きたのは今年の音楽祭の新制作、エセル・スマイスの《ザ・レッカーズ》。この日の朝、マルク役に起用されているロドリゴ・ポーラス・ガルーロが不調を訴えたことから、午後になってリハーサルでカバー役を務めていたアダム・ギルバートを呼ぶことになったという。

ところが、意中のギルバートは既に休暇に入り、息子とアザラシを見るため500キロ近く離れたウェールズ沿岸のカーディガン島に滞在。しかも英国はこの日、ロシアのウクライナ侵略に対する経済制裁に伴う物価高騰に対して全土でゼネラル・ストライキのただ中にあり、長距離列車の運行が止まっていたという。

そこで、捻り出されたのが、ヘリコプターを飛ばすこと。そこは元々は限られた人たちが会員制で運用していた老舗の音楽祭の面目躍如で、会員によってヘリコプターが手配され、ギルバートは第2幕の幕開けに間に合ったという。

結局、第1幕はガルーロが歌い、第2幕と第3幕はガルーロが舞台上で演技、ギルバートがステージの袖で歌うというスタイルで事なきを得たという。ギルバートはBBCウェールズの取材に対して、「ヘリコプターに乗ったのは初めて」と語っている。

写真:BBC / Glyndebourne Festival Opera


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