ミラノ発 〓 スカラ座のマイヤー総裁が劇場パフォーマーへの迅速なワクチン接種を求める請願書

2021/03/10

ミラノ・スカラ座のドミニク・マイヤー(Dominique Meyer)総裁が3月9日、イタリアのすべての劇場のパフォーマーに対して新型コロナウイルスワクチンの迅速な接種を求める請願書を政府に提出した。請願書でマイヤーは、社会の健康のため劇場を開くことの必要性を強調。歌手、合唱団、俳優、ダンサーらマスクを使用できないアーティストへの迅速な予防接種を訴えている。

スカラ座では先月末、バレエ団でクラスターが発生。45人に陽性反応が出て、《トリビュート・トゥ・ヌレエフ》というバレエの無観客上演が中止された。また、バレエ団との接触がなかったオペラ部門でも、クルト・ワイルの《七つの大罪》と《小さなマハゴニー》のリハーサルが週明けまで中断された。

イタリアは9日、新型コロナウイルスによる死亡者が100,000人を超えた。1日の新規感染者は11月から減少を続けてきたが、3月に入って増加に転じ、なお1日20,000人を超える。一方、予防接種はイタリア政府の発表では560万回。ワクチン不足を受け、4日になって政府は国内で製造されたアストラゼネカ製ワクチンのオーストラリアへの輸出差し止めを発表した。EUからのワクチンの輸出が差し止められたのは初めて。

ヨーロッパ連合(EU)は1月から、製薬会社が域内で製造したワクチンを輸出する際、工場がある加盟国に事前に申告し、許可を得ることを義務付けた。イタリア政府は差し止めの理由として、オーストラリアに輸出する量がおよそ25万回分で、イタリアやEU加盟国に供給されている量と比べて多いことなどを理由にあげている。

写真:Teatro alla Scala


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