訃報 〓 スティーヴン・ソンドハイム(91)アメリカの作曲家・作詞家

2021/11/27
【最終更新日】2023/02/06

数々のミュージカル作品で知られるアメリカの作曲家・作詞家のスティーヴン・ソンドハイム(Stephen Sondheim)が11月26日、コネチカット州ロックスベリーの自宅で死亡。91歳だった。死因は明らかにされていないが、現地での報道によると、前日に友人らと感謝祭を祝ったが、翌日になって急死したという。

半世紀以上にわたり、ミュージカル界に貢献してきた大御所。特別功労賞を含めてトニー賞を8回授賞と作曲家で最多受賞回数を誇り、アカデミー賞1回、グラミー賞8回、ピューリッツァー賞1回、ローレンス・オリヴィエ賞1回お授賞しており、2015年には大統領自由勲章を受章した。

1930年、ニューヨークの生まれ。高校時代から家族ぐるみで親しくしていた作詞家のオスカー・ハマースタインⅡ世から作詞の手ほどきを受け、長じてウィリアムズ・カレッジで音楽を学んだ。卒業後、劇作家のアーサー・ロレンツに認められ、弱冠25歳の若さでレナード・バーンスタイン作曲のミュージカル《ウェストサイド物語》の作詞に起用される。作品は大ヒット、最初の成功を収めた。

その後、自ら作詞・作曲を手掛けたミュージカル《ローマで起こった奇妙な出来事》がロングランを記録、30代前半で作詞・作曲家としての地位を確立した。以後、1970年に《カンパニー》に始まり、《フォリーズ》、《リトル・ナイト・ミュージック》、《スウィーニー・トッド》といったヒット作を連発した。

1984年には、《ジョージの恋人》でピュリツァー賞を授賞。その後も《森の中へ》、《暗殺者》、《パッション》とヒットを飛ばし、最後のミュージカル作品となった1999年の《Putting It Together》まで旺盛な創作活動を続け、ミュージカルの新たな地平を拓き、芸術としての地位を確立させた。

また、1973年から1981年までアメリカ脚本家組合の会長を務めた。1990年には、マドンナが歌った「Sooner or Later」など、映画『ディック・トレイシー』の音楽を手掛け、最初で最後のアカデミー賞歌曲賞を受賞。2000には日本の「高松宮殿下記念世界文化賞」も音楽部門も受賞している。

2010年、彼の生誕80年を祝して、ニューヨーク・ブロードウェイの「ヘンリー・ミラーズ・シアター」が「スティーヴン・ソンドハイム・シアター」に改名。また、2019年には、人気ミュージカル「レ・ミゼラブル」のロングラン上演を行っているロンドンの「クイーンズ・シアター」も改名している。

写真:Tufts University


関連記事

  1. パリ発 〓 ポリーニが再延期していたリサイタルを体調不良でキャンセル

  2. 訃報 〓 ミハイル・ユロフスキ(76)ロシアの指揮者

  3. 訃報 〓 ディミトリー・スミルノフ(71)旧ソ連出身の作曲家

  4. 東京発 〓 原田慶太楼が東響の正指揮者に

  5. ウィーン発 〓 ウィーン響の首席指揮者にペトル・ポペルカ、アンドレス・オロスコ=エストラーダの後任

  6. サンフランシスコ発 〓 サンフランシスコ・オペラが2月のストリーミング・スケジュールを発表

  7. プラハ発 〓 チェコ・フィルが昨年秋以来初の“聴衆あり”コンサート

  8. ミラノ発 〓 スカラ座で新たに二人の感染者

  9. ボストン発 〓 アンドリス・ネルソンスが1月、手兵のボストン響と2週間でベートーヴェン交響曲全曲演奏

  10. ニューヨーク発 〓 テノールのステファン・グールドが健康上の理由で引退を表明

  11. ローマ発 〓 ローマ歌劇場が7月、ガッティ指揮によるオペラの野外上演をシエナ広場で計画

  12. アムステルダム発 〓 オランダも8月いっぱいイベント禁止、オランダ芸術祭も中止

  13. ロッテルダム発 〓 ロッテルダム・フィルもゲルギエフとの「関係を終了」と発表

  14. ロンドン発 〓 名門「デッカ」がクラウス・マケラと契約、指揮者との契約は約40年ぶり

  15. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が2019/2020シーズンの残りの公演をすべてキャンセル

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。