アケルスベルガ発 〓 ついに論争に終止符!?、「BIS」レーベルが“フルヴェンのバイロイトの第九”の完全録音をリリース

2021/10/15

ついに論争に終止符!? スウェーデンの「BIS」レーベルが、ドイツ・バイロイト音楽祭(Bayreuther Festspiele)の伝説の名演として知られるヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮の「第九」のアルバムをリリースすると発表した。当日の演奏を放送したスウェーデン放送の番組が音源になっているという。この日の演奏については複数のライブ・アルバムがリリースされてきたが、コアな音楽ファンの間でそれらの演奏の出自が問われてきたという経緯がある。

収録されているとされる演奏会は1951年7月29日、第二次世界大戦の敗戦で中止されていたバイロイト音楽祭の再開を祝って行われたもの。巨匠フルトヴェングラーがバイロイト祝祭管弦楽団を指揮、ベートーヴェン交響曲第9番《合唱》、いわゆる「第九」が演奏された。その演奏会は「英HMV(EMI)」レーベルによって録音されたことが知られており、巨匠の死後、1955年に2枚組のLPレコードが発売された。

ところが2007年、日本の愛好家団体が当日のラジオ中継を行ったバイエルン放送の倉庫で別の録音テープを発掘。「英HMV(EMI)」レーベルの録音とは別の演奏であったことから、本番だけでなく、「ゲネプロ」と呼ばれるいわゆる通し演奏の録音もあった可能性が浮上。以来、コアな音楽ファンの間で、どちらかの録音を核に使いながら、部分的にもう一方の録音も使い、編集したのではないか、という論争が起きていた。

発表によれば、「BIS」レーベルのアルバムの音源は、スウェーデン放送によって放送された番組の録音で、冒頭の3か国語(ドイツ語、英語、スウェーデン語)によるアナウンス、指揮者の入場、演奏、最後の大歓声と拍手、番組終了のアナウンスまでの85分間を収めているという。発売は発売は12月20日の予定で、SACDハイブリッド盤で登場する。

写真:Bayreuther Festspiele


    もっと詳しく ▷

    音楽祭プロフィールはこちら ▷


関連記事

  1. クリスチャンサン発 〓 ナタリー・シュトゥッツマンがクリスチャンサン響との契約を延長

  2. トゥールーズ発 〓 キャピトル劇場が新シーズン、2025/2026シーズンの公演ラインナップを発表

  3. ダルムシュタット発 〓 州立劇場が音楽総監督のダニエル・コーエンとの契約を延長

  4. ロサンゼルス発 〓 ロサンゼルス・フィルの首席コンサートマスターを務めるマーティン・シャリフォーが2024/2025シーズンで退団

  5. ケルン発 〓 クリスティアン・マチェラルがWDR交響との契約を延長

  6. ウィーン発 〓 2020年の「ニューイヤー・コンサート」のプログラム発表

  7. シカゴ発 〓 リリック・オペラの次期音楽監督にエンリケ・マッツォーラ

  8. ミラノ発 〓 ウクライナ領事、スカラ座に《ボリス・ゴドノフ》の上演取り止めを要請

  9. ロンドン発 〓 ユロフスキがロンドン・フィルと《リング》チクルス

  10. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が新しい“リング”、演出にユヴァル・シャロンを起用

  11. 訃報 〓 マルチェッラ・レアーレ(84)米国のソプラノ歌手

  12. 東京発 〓 NHK交響楽団が特別コンサートマスターの篠崎史紀の退団を発表

  13. パリ発 〓 国立オペラの新シーズン開幕は11月末に

  14. ウィーン発 〓 オーストリア政府がウィーン放送響の廃止否定の声明

  15. ロンドン発 〓 ウィグモアホールが公演再開、内田光子も登場

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。