イタリアの作曲家シルヴァーノ・ブッソッティ(Sylvano Bussotti)が亡くなった。89歳だった。音列作法、図形楽譜を使った偶然性の音楽といった多彩な作風で1960年代の前衛音楽の作曲家として活躍する一方、ピアニスト、画家、デザイナー、作家、詩人、映画監督、俳優、イラストレーター、舞台監督、振付師、演出家など、マルチな才能を発揮したことで知られる。
フィレンツェ生まれで、ケルビーニ音楽院で学んだ後、パリに渡ってマックス・ドイッチュに師事。ピエール・ブーレーズらと親しく交流、ジョン・ケージの偶然性の音楽に大きく影響された。その後、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会の常連になり、1959年に発表した「D.チューダーのための五つのピアノ曲」で注目を集めた。
1961年の《トルソ》、1963年の《イル・ヌード》が国際現代音楽協会のコンクールに立て続けに入賞。その後、協和音程の多いロマンティックな詩情を漂わせる作風、退廃的で甘美な音色美で強烈な官能性を放射する音楽を生み出し、音符の形が枝状になる新しい記譜法などによって一世を風靡した。
一方、左翼文化人を代表する一人で、ゲイ文化を象徴する存在としても名を馳せた。舞台作品の創作に熱心で、作曲から上演に至るまでのすべてを手掛ける多彩な才能をみせた。一時期、ヴェネチアのフェニーチェ劇場の芸術監督を務めていた。
ローマで交流のあった作曲家の武満徹との親交も深く、武満はブソッティの誕生日のためにギターの小品を作曲している。また、その招待で初来日。1987年には、サントリーホールが作曲を委嘱した《カタログ IV オーケストラのための詩 第1番 “H III”》が日本で初演されている。
写真:Il Messaggero
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訃報 〓 シルヴァーノ・ブッソッティ(89)イタリアの作曲家
2021/09/20
【最終更新日】2023/02/06
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