ニューヨーク発 〓 巨匠チェリビダッケの生涯が映画に、演じるのはジョン・マルコビッチ

2021/09/19

1996年に84歳で亡くなったルーマニアの巨匠指揮者、故セルジュ・チェリビダッケ(Sergiu Celibidache)の生涯が映画化されることになった。米国のエンターテイメント業界紙「バラエティ」が報じた。巨匠を演じるのは、『ザ・シークレット・サービス』や『マルコヴィッチの穴』で知られる個性派俳優のジョン・マルコビッチ(John Malkovich)。

報道によると、題名は「黄色いネクタイ」。1996年にドキュメンタリー映画「チェリビダッケの庭」を監督した巨匠の子息イオアンなどが脚本を手掛け、2022年春から撮影が始まるという。マルコビッチが演じるのは巨匠の晩年で、青年期の配役は未定。

巨匠はローマン生まれでユダヤ文化の中心地ヤシ育ち。6歳頃からピアノを学び、成人してパリやベルリンで学び、ベルリンで終戦を迎えた。戦後、常任指揮者のヴィルヘルム・フルトヴェングラーがナチスとの関係を咎められて活動ができなかったことから、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮台に立つチャンスを掴み、一時は実質的な首席指揮者を務めた。

しかし、妥協を許さぬ姿勢や独裁的な言動、毒舌から徐々にメンバーとの溝が深まり、1947年にフルトヴェングラーが復帰、1952年に「終身首席指揮者」に就任すると、さらに関係が悪化。1954年には「ドイツ・レクイエム」のリハーサル中にメンバーと激突してベルリンを離れた。

その後はイタリアを拠点に客演を続けたが、録音嫌いだったこともあり、知る人ぞ知る巨匠としての名声が高まることに。大きな転機は1979年にミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任したこと。亡くなる1996年まで在任して、オーケストラを徹底して鍛え上げ、ブルックナーなどを中心としたプログラムで一世を風靡した。

写真:BR


    もっと詳しく ▷


関連記事

  1. ミュンヘン発 〓 ソプラノのニーナ・シュテンメにバイエルン州から「宮廷歌手」の称号

  2. ロンドン発 〓 ロイヤル・オペラが2025/2026シーズンの公演ラインナップを発表、第7代音楽監督ヤクブ・フルシャ最初のシーズンにアンナ・ネトレプコが復帰

  3. ライプツィヒ発 〓 2024年の「バッハ・メダル」はアンドレアス・シュタイアーに

  4. ハノーファー発 〓 第12回「ヨーゼフ・ヨアヒム国際ヴァイオリン・コンクール」は二人が第1位を分け合う

  5. シカゴ発 〓 リリック・オペラが音楽監督のエンリケ・マッツォーラとの契約を延長

  6. ウィーン発 〓 国立歌劇場は予定通り、9月7日に新シーズンを開幕

  7. パレルモ発 〓 ムーティが50年ぶりにマッシモ劇場管弦楽団の指揮台に

  8. ウィーン発 〓 国立歌劇場がファン・ディエゴ・フローレスの降板でライブ・ストリーミングを中止

  9. 訃報 〓 ジュリアン・ブリーム(87)イギリスのギタリスト

  10. ミネアポリス発 〓 オスモ・ヴァンスカがミネソタ管の音楽監督を退任

  11. ペーザロ発 〓 ロッシーニ・オペラ・フェスティバルは開催

  12. ムンバイ発 〓 インド響が次期首席指揮者に英国の指揮者マーティン・ブラビンズ

  13. シカゴ発 〓 シカゴ響が「ムーティ最後のシーズン」2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表、注目集める客演指揮者

  14. ウィーン発 〓 ウィーン・フィルが2025年元旦の「ニューイヤー・コンサート」のプログラムを発表

  15. ベルリン発 〓 作曲家のジョン・ウィリアムズが指揮者として今度はベルリン・フィルにデビュー

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。