訃報 〓 カジミエシュ・コルト(90)ポーランドの指揮者

2021/05/01
【最終更新日】2023/02/06

ポーランドを代表する指揮者の一人、カジミエシュ・コルト(Kazimierz Kord)が4月29日に亡くなった。90歳だった。ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を長く務め(1977–2001)、オーケストラを率いて数多くの海外ツアーを行うなど、戦後のポーランド文化発信の核となってきた。

クラクフのユダヤ人地区ポドグージェの生まれ。カトヴィツェの音楽学校でピアノを学んだ後、旧ソ連のレニングラード音楽院に留学。帰国後はクラクフ音楽院で指揮を学び、地元のミュージカル劇場の主任指揮者兼芸術監督として指揮活動をスタートさせた。

その後、ドイツ・ミュンヘンのゲルトナープラッツ州立劇場、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場などに客演を重ね、1969年から1973年までカトヴィツェの国立放送交響楽団の音楽監督を務めた。1977年にワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任した後も、1980年からドイツ・バーデン=バーデンの南西ドイツ放送交響楽団(–1986)の首席指揮者も兼務した。

また、現代音楽の音楽祭「ワルシャワの秋」や「ルトスワフスキ・フォーラム」を支援した。2001年に「ポーランド復興勲章」の最高位の騎士鉄十字章、2005年には文化功労章「グロリア・ アルティス」のゴールデン・メダルなど、授章多数。

写真:Paweł Nowak


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