訃報 〓 ビセルカ・ツヴェイチ(97)セルビアのメゾ・ソプラノ歌手

2021/01/08
【最終更新日】2023/02/06

セルビアのメゾ・ソプラノ歌手ビセルカ・ツヴェイチ(Biserka Cvejic)が7日、ベルグラードで亡くなった。97歳だった。ウィーン国立歌劇場やメトロポリタン歌劇場をはじめとする世界的な歌劇場で活躍、約1,800回、77の役を歌っている。ヴェルディ作品やフランス物で高い評価を受け、後年は母国で後身の指導に当たった。

アドリア海に面したクロアチア南部クリロ-イェセニツェの生まれ。2歳で両親とベルギーに移住、リエージュ近くで育ち、その後、合唱団の活動で当時のユーゴスラビアに戻り、さらにベルグラード音楽院で声楽を学んだ。1950年にオペラ・デビュー、1951年から1961年までベルグラード歌劇場のメンバーとして活躍した。

1961年、ウィーン国立歌劇場のメンバーに。ウィーンでは約370の公演に出演、25の役を歌い、「宮廷歌手」の称号が贈られている。また、1961年にはニューヨークのメトロポリタン歌劇場にもデビュー、出演を重ねた。1967年には「第5次イタリア歌劇団」の公演で来日し、ヴェルディ《ドン・カルロ》エボリ公女を歌っている。

その後、ザグレブ歌劇場を中心に活躍。1970年代後半にオペラのステージから引退して後身の指導に当たり、声楽指導者向けの著作を刊行。2001年にフランスの「レジオンドヌール勲章」を授章。2004年には80歳を祝うセレモニーがザグレブで行われている。

写真:Paun Paunović / Cropix


関連記事

  1. ミュンヘン発 〓 延長した任期が切れる2028年での退任を明言、バイエルン州立オペラの音楽総監督ウラディーミル・ユロフスキ

  2. グラナダ発 〓 国際音楽舞踏祭は開催へ

  3. ピアチェンツァ発 〓 市立劇場が5月16日の再開場を発表、ドミンゴ、ムーティの出演続く

  4. ウィーン発 〓 ウィーン・フィルが公開書簡でメトロポリタン歌劇場経営陣に苦言

  5. 訃報 〓 周文中(96)アメリカの作曲家・教育者

  6. パリ発 〓 フランスでも新型コロナウイルス禍広がる、文化大臣も感染

  7. 訃報 〓 ディミトリー・ホフストフスキー(55)ロシア出身のバリトン歌手

  8. バーゼル発 〓 バーゼル・シンフォニエッタの次期首席指揮者にティトゥス・エンゲル

  9. アトランタ発 〓 アトランタ・オペラ衣装部がマスク製作に奮戦

  10. パリ発 〓 劇場の占拠、フランス全土へ拡大

  11. ナポリ発 〓 サン・カルロ劇場が2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表

  12. ウィーン発 〓 ソニーが「ニューイヤー・コンサート」2020のネット配信を開始

  13. ボストン発 〓 ボストン響が年内の公演を断念

  14. ハノーファー発 〓 北ドイツ放送フィルの次期首席指揮者にスタニスラフ・コチャノフスキー

  15. ロンドン発 〓 指揮者のジャン・レイサム=ケーニックが児童に対する性犯罪の疑いで逮捕された

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。