ドレスデン発 〓 名指揮者ケンペの遺品が古巣のザクセン州立歌劇場へ

2020/12/05
【最終更新日】2020/12/07

1976年に65歳で亡くなったドイツの名指揮者ルドルフ・ケンペ(Rudolf Kempe)の遺品がドレスデンのザクセン州立歌劇場(Sächsische Staatsoper Dresden)に寄贈された。コルドゥラ夫人からの寄贈で、劇場が4日に発表した。寄贈されたのは、音源や写真、音楽家やファンと交わした手紙、プログラム、レビューなど。ケンペは若き日に劇場の音楽総監督を務めており、離任後も東ドイツ時代に数多くの録音を残している。

1910年、ドレスデン近郊ニーダーポイリッツの生まれ。厚みのある響きを整える職人的な手腕を持つ一方、長身痩躯を激しく動かすタクトが熱気のこもったスケールの大きな音楽を紡ぎ出して、オペラ、コンサートで国際的な活躍を続けた。柔らかな物腰、誠実な人柄の人格者で、鉄道模型を趣味にしていたことでも知られる。

ドレスデン国立歌劇場付属のオーケストラ・アカデミーでオーボエを学び、卒業後はドルトムント歌劇場管弦楽団を経て、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席オーボエ奏者に。ゲヴァントハウス管は当時、指揮者がブルーノ・ワルター、コンサートマスターがシャルル・ミュンシュ、ヴィオラの首席奏者がフランツ・コンヴィチュニーという黄金時代だった。

その後、指揮者に転身し、1935年にライプツィヒ歌劇場で指揮者デビュー。1945年に大戦が終了すると、ケムニッツ歌劇場音楽総監督に就任した、1948年からワイマール歌劇場首席指揮者に転じたが、1949年には東ドイツ最高峰の歌劇場であるドレスデン国立歌劇場(現在のザクセン州立歌劇場)の音楽総監督を務めていたヨーゼフ・カイルベルトに招かれて指揮者陣に加わった。

翌年、カイルベルトが西ドイツに移ったことを受け、30代で後任の音楽総監督に就任。1952年にはゲオルグ・ショルティの後任として、西ドイツ最高峰の歌劇場であるミュンヘンのバイエルン州立歌劇場の音楽総監督に転じて、若くして重責を担った。しかし、1954年には渡米してドイツを離れた。

渡米後はメトロポリタン歌劇場の指揮者陣に加わり、ロンドンのロイヤル・オペラやウィーン国立歌劇場、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団などへ活躍の場を広げた。その後、病気で指揮活動を一時休止するが、1960年にはバイロイト音楽祭に登場して4年にわたってワーグナー《ニーベルングの指環》を指揮した。

1961年からはトーマス・ビーチャムの後任としてロンドンのロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任したが、1963年に病気治療のため退任した。1965年に再復帰してチューリヒ・トーンハレ管弦楽団の首席指揮者に(-1972)。1966年からはロイヤル・フィルの首席指揮者にも復帰した(-1975)。

さらに1967年からその死まで、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者。任期中の1972年に行われたミュンヘン・オリンピックでは、パレスチナ・ゲリラによるテロ事件でイスラエル選手が犠牲となったが、追悼集会でミュンヘン・フィルとベートーヴェンの交響曲第3番《英雄》第二楽章を演奏した。死の前年の1975年からはBBC交響楽団の常任指揮者も兼任したが、1976年に肝臓がんでチューリッヒで客死した。

写真:Warner Classics / Hans-Joachim Mirschel


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