訃報 〓 ネッロ・サンティ(88)イタリアの指揮者

2020/02/07
【最終更新日】2023/02/16

イタリアの指揮者ネッロ・サンティ(Nello Santi)が亡くなった。88歳だった。パドヴァの音楽院で作曲を学んだ後、1951年にパドヴァのヴェルディ劇場で《リゴレット》を指揮してオペラ界にデビュー。以来、オペラの指揮を中心に活動を展開。ミラノ・スカラ座はもとより、欧米の主要な歌劇場に客演を続け、マリア・カラス、レナータ・テバルディ、マリオ・デル・モナコといった歴史的な名歌手と共演を重ね、録音でも数多くの名盤を残している。

サンティはアドリアの生まれ。巨漢で長い指揮棒を使うのが特徴。指揮ぶりは一転してコンパクトで、1995年にはヴェローナ音楽祭の25周年記念公演を指揮するなど、イタリア・オペラ界を代表する最長老指揮者だった。一方でイタリア・オペラ以外にワーグナーも得意とした。イタリアの最上位の勲章「イタリア連帯の星勲章(Ordine della Stella della Solidarietà Italiana)の最上位「Grand Officer」など受章多数。歌手たちからは「パパ・サンティ」として慕われていた。

1958年には若くしてチューリヒ歌劇場の音楽監督に就任、1969年の退任後も指揮者陣の一人として密接な関係が続いた。スイスでは、バーゼル放送交響楽団の首席指揮者を務めた(1986-1997)。1999年に読売日本交響楽団を指揮してから来日が増え、NHK交響楽団にはたびたび客演。2007年には《ラ・ボエーム》を、2010年には《アイーダ》を指揮して、どちらもその年の視聴者の「心に残ったコンサート」の第1位に選ばれている。パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌(PMF)でも、2005年に首席指揮者を務めた。

写真:Radiotelevisione svizzera





関連記事

  1. ブダペスト発 〓 ハンガリー国立歌劇場が世界初演されたばかりのエトヴェシュの新作《ヴァルスカ》を無料ストリーミング配信

  2. 訃報 〓 マウリツィオ・ポリーニ(82)イタリアのピアニスト

  3. ベルリン発 〓 ドイツのオペラ雑誌「Oper Magazin」が年間賞を発表

  4. アムステルダム発 〓 ロイヤル・コンセルトヘボウ管に初の常任客演指揮者

  5. サンテス・クレウス発 〓 ジョルディ・サヴァールが新しい音楽祭起ち上げ

  6. 北京発 〓 ピアニストのラン・ランが中国でバッハ・ツアー、15都市でゴルドベルク変奏曲

  7. ローマ発 〓 ローマ歌劇場が7月、ガッティ指揮によるオペラの野外上演をシエナ広場で計画

  8. フィレンツェ発 〓 フレンツェ歌劇場の新しいホール「ズービン・メータ・ホール」がオープン

  9. クラスノヤルスク発 〓 トレチャコフ国際ヴァイオリン・コンクール、1位はドガーディン、2位に北川

  10. ウィーン発 〓 ウィーン国立歌劇場など、オーストリアの劇場閉鎖は3月末までに延長

  11. ベルリン発 〓 州立オペラの次期インテンダントにオーストリアの女流演出家エリザベート・ソボトカ

  12. オーデンセ発 〓 オーデンセ響の首席指揮者にピエール・ブリューズ

  13. ザルツブルク発 〓 ドミンゴに「オーストリア音楽劇場賞」功績賞

  14. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルが11月に米国ツアー、海外ツアーは4年ぶり

  15. パリ発 〓 パリ国立オペラもコロナ禍で公演が立て続けに上演中止に

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。