訃報 〓 ハリー・クプファー, ドイツの演出家

2020/01/01

世界的な演出家ハリー・クプファー(Harry Kupfer)が昨年12月30日、ドイツ・ベルリンの自宅で亡くなった。84歳だった。1935年、ベルリンの生まれ。音楽と劇の一体化をめざす「ムジークテアター」を実践した戦前の巨匠ヴァルター・フェルゼンシュタイン(Walter Felsenstein)の薫陶を受けた一人。旧東ドイツを拠点にヨーロッパで最も前衛的な演出家の一人として注目を集め、1981年には東ベルリンのコーミッシェ・オーパー(Komische Oper Berlin)の首席演出家に就任、そこを拠点に数多くの名舞台を手掛けたことで知られる。

演出家デビューは1958年、ハレ歌劇場の《ルサルカ》。その後、カール・マルクス=シュタット、ワイマール、ドレスデンと、東ドイツの劇場でオペラの演出家として活動。フェルゼンシュタインが創設したコーミッシェ・オーパーを引き継いだ後、2002年に離任するまで東西ドイツ統一後もその任にあった。これまでに200近い作品を演出。世界各地の歌劇場、音楽祭への客演も多く、中でもバイロイト音楽祭では、1988年から1992年にかけてダニエル・バレンボイム指揮の《ニーベルングの指環》を演出を手掛けて上演史に金字塔を打ち立てた。

また、ザルツブルク音楽祭にも、1986年にペンデレツキのオペラ《黒い仮面》の世界初演を手掛けてデビュー。2014年にはリヒャルト・シュトラウスの《薔薇の騎士》も演出した。最近まで精力的に活動しており、2019年は古巣のコーミッシェ・オーパーでヘンデルのオペラ《インド王ポーロ》、チューリヒ歌劇場で《タンホイザー》の演出を手掛けた。日本でも、クプファーが新演出を手掛けた《パルジファル》が2014/2015シーズンに新国立劇場で上演されている。

写真:Komische Oper Berlin

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