サンクト・ペテルブルクのマリインスキー劇場の総監督・芸術監督を務める指揮者のヴァレリー・ゲルギエフ(Valery Gergiev)のボリショイ劇場総監督就任が決まった。これまで総監督を務めてきたウラジーミル・ウリンは11月30日で退任、当日にゴリコワ副首相と二人が揃って会見したとロシアのメディアが報じている。
ロシアでの報道によると、任期は5年。副首相は会見で二つの劇場の合併はなく、それぞれ独立した法人として今後も存続していくと述べている。双方の総監督を一人の人間が務めるのは1917年のロシア革命後初めてという。
ボリショイ劇場では2013年、1995年からスタニスラフスキー音楽劇場とネミロヴィチ=ダンチェンコ音楽劇場を率いていたウリンがアナトリー・イクサノフの後任としてトップに就任。契約更改で任期は2027年までとなっていた。
しかし昨年3月、プーチン大統領に対し、国際的なヴァイオリニストで指揮者としても活躍しているウラディーミル・スピヴァコフら芸術家16人と共同で「ウクライナでの特殊作戦の停止を求める請願書」を提出。これに大統領が反応し、3月末のゲルギエフとのリモート会見で二つの劇場を監督することを提案していた。
ゲルギエフはこの5月で70歳。ウクライナ侵略後もプーチン大統領を批判せず沈黙を守ったことで、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者のポストをはじめ、海外のポスト、仕事のほぼすべて失い、マリインスキー劇場の海外ツアーも中国や北朝鮮など限られた国に限定されている状況。
写真:Bolshoi Theater / Damir Yusupov
モスクワ発 〓 ゲルギエフがボリショイ劇場の総監督に就任
2023/12/02
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