訃報 〓 ジル・ゴメス(83)英国のソプラノ歌手

2026/08/15

英領ギアナ(現在のガイアナ)出身で英国で活躍したジル・ゴメス(Jill Gomez)が亡くなっていたことが解った。オペラ歌手として国際的な活躍を繰り広げるかたわら、テレビ番組や映画にも出演。後年は第15代ノースエスク伯爵パトリック・カーネギー夫人としてケンブリッジシャーで暮らしていた。

英領ギアナのニュー・アムステルダムの生まれた。父親はスペイン系トリニダード人で蒸留酒メーカーの役員、著名な女優兼放送タレントだったイギリス人を母に持ち、トリニダード・トバゴのポート・オブ・スペインで育つ。幼い頃から音楽祭などで存在感を示して13歳で渡英、ロンドンの王立音楽院、ギルドホール音楽演劇学校で声楽とピアノを学んだ。

卒業後はグラインドボーン音楽祭で活動、ジョン・クリスティ賞を2度受賞している。ソリストとしてのデビューは1968年で、グラインドボーン・ツーリング・オペラでドニゼッティ《愛の妙薬》のアディーナを歌った。また、この年から始まったテレビ番組『ミュージック・ナウ』に出演してお茶の間での人気を集め、その後もたびたびテレビ番組に出演している。

1970年にはロイヤル・オペラにデビュー、その後、国際的な舞台に進出した。ただ、世界中の歌劇場を日々渡り歩く歌手の在り方には批判的で、十分なリハーサル時間を確保できる歌劇場での仕事を好み、チューリッヒではジャン=ピエール・ポネル演出、ニコラウス・アーノンクール指揮のモーツァルト《ルーチョ・シッラ》に出演している。

海外では、ヤープ・シュレーダーとコンチェルト・アムステルダムと共演、ゲオルグ・ショルティ指揮のイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団とはマーラーの交響曲第2番で共演、ピエール・ブーレーズとはウェーベルンの作品で共演している。

1995年には、英国のチェルトナム音楽祭で世界初演されたトーマス・アデスの《パウダー・ハー・フェイス》にアーガイル公爵夫人役で出演。その後、初演時のキャストを起用して作曲者の指揮で録音されたアルバムは2000年のグラミー賞にノミネートされている。

写真:Treasure Island Company





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