米国のピアニスト、メナヘム・プレスラー(Menahem Pressler)が5月6日、ロンドンの自宅で亡くなった。99歳だった。ドイツ生まれのユダヤ系で、20世紀の代表するピアニストの一人として国際的な活躍を続け、ボザール・トリオの創設メンバーだった。
1923年、ドイツのマグデブルク生まれ。1939年に両親とドイツを離れ、イスラエルに移住。残った家族は、ナチスの強制収容所で亡くなった。1946年、サンフランシスコで行われたドビュッシー国際ピアノ・コンクールで優勝、ユージン・オーマンディ率いるフィラデルフィア管弦楽団でデビューしてキャリアをスタートした。
以後、国際的な活躍を続け、世界の主要オーケストラのほぼすべてのオーケストラと共演。また、1955年にはヴァイオリンのダニエル・ギレ、チェロのバーナード・グリーンハウスとボザール・トリオを結成。2008年のスイス・ルツェルン音楽祭で解散するまでメンバーを代えて活動を続けた。
トリオの解散後、85歳でソリストとして活動を再開、90歳にしてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団にデビューした。2013年には90歳記念コンサートで、テノールのクリストフ・プレガルディエンと共演してシューベルトの歌曲集《冬の旅》を録音している。録音の数も膨大で、フィリップスからリリースされたボザール・トリオの全集はCD60枚組。
また、米国のインディアナ大学ジェイコブス音楽院の教授として長く後進の指導に当たり、多くの教え子を音楽界に輩出。ニューヨークのマンハッタン音楽院、ロンドンの王立音楽院、イスラエルのベングリオン大学ベエルシェバ校などから名誉博士号を授与されている。
写真:Echo Klassik / Wieland Aschinger
訃報 〓 メナヘム・プレスラー(99)米国のピアニスト
2023/05/07
【最終更新日】2023/05/08
- コメント: 0
この記事へのコメントはありません。