英国のテノール歌手ナイジェル・ロジャース(Nigel Rogers)が1月19日に亡くなった。86歳だった。声楽における古楽演奏の先駆者の一人で、中世からバロックまでの作品の歌唱法と自然な発声法によって、音楽の解釈を変えたとされる。
1935年、英国シュロップシャー州ウェリントンの生まれ。ケンブリッジ大学のキングス・カレッジで学んだ後、ローマ、ミラノで学び、その後、ミュンヘン音楽大学で著名なバリトン歌手ゲルハルト・ヒュッシュに師事した。
ミュンヘン時代の1960年、トーマス・ビンクリー、スターリング・ジョーンズ、アンドレア・フォン・ラムと中世音楽を活動の中心に据えた「ミュンヘン古楽スタジオ」の起ち上げに加わった。ロジャースが加わった11タイトルの録音の中でも、1966年にリリースされたダウランドのアルバムは高い評価を受けた。
その後、古楽演奏のパイオニアの一人として、グスタフ・レオンハルト、ニコラウス・アーノンクール、ユルゲン・ユルゲンス、デイヴィッド・マンロウ、クリストファー・ホグウッドらとの共演や録音を重ねた。ユルゲンス指揮のモンテヴェルディのオペラ《オルフェオ》、アーノンクール指揮のマタイ受難曲の録音でもテノールを担当している。
また、1978年からロンドンの王立音楽大学の古楽歌唱の教授に就任。1979年にはイタリアのバロック音楽演奏のための声楽アンサンブル「キアロスクーロ」を設立している。1993年に教授を退任した後も、数多くの歌唱マスタークラスやワークショップを開催して数多くの後進を育てた。
写真:BBC
訃報 〓 ナイジェル・ロジャース(86)英国のテノール歌手
2022/01/25
【最終更新日】2023/02/06
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