訃報 〓 デニス・ウィック(93)英国のトロンボーン奏者

2025/02/15

英国のトロンボーン界の大御所デニス・ウィック(Denis Wick)が2月12日に亡くなった。93歳だった。ロンドン交響楽団の首席奏者を31年間務める一方、ギルドホール音楽演劇学校などで若手の育成に貢献、金管アンサンブルやウインド・アンサンブルの指揮者としても活躍した。また、自ら会社を立ち上げ、金管楽器のマウスピースやミュートを開発。2004年から2006年まで国際トロンボーン協会の会長を務めた。

エセックス州のブレイントリーの生まれ。10歳の時にチェルムスフォードの救世軍バンドから楽器をもらってから独学でトロンボーンを学び、ルートン・ブラスバンドに入団した。その後、王立音楽院で学ぶも、19歳でボーンマス交響楽団に入団。1952年にはバーミンガム市交響楽団に移り、1957年にはロンドン交響楽団に入団。1988年まで首席奏者を務め、ジョン・ウィリアムズ作曲の「スター・ウォーズ」のオープニング・テーマの録音にも参加した。

1968年には自らの名をブランド名にした会社を起ち上げ、幅広い知識と経験を活かしてミュートやマウスピースの開発に取り組み、それらは柔らかな音色で入門者からプロまで多くの奏者に愛用されている。また、教則本も数多く執筆。ギルドホール音楽演劇学校(1967ー1989)、ロンドンの王立音楽アカデミーの教授(2000ー)として後進の指導に当たり、1977年から1990年代にかけては第2エセックス・ユース・オーケストラの指揮者も務めた。

写真:Denis Wick


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