米国のジュリアード音楽院が23日、作曲科の科長を務めるロバート・ビーザー(Robert Beaser)を性的虐待の疑いで休職にしたと発表した。音楽院の広報担当者は声明の中で、「私たちの学校コミュニティには、性的差別やセクハラは存在しない。疑惑については極めて深刻に受け止めている」と述べている。
今回の告発は、ベルリンを拠点とするクラシック音楽のWEBサイト「Van」が12日に行ったもの。ビーザーが1990年代後半から2000年代にかけ、出世の手助けをする見返りに学生に性行為を要求していたと伝えており、少なくとも4人の女性作曲家がビーザーに対する疑惑は学科内の「公然の秘密」だったと語っている。
また、告発によると、500人近い音楽家が、彼の「数十年にわたる女性への暴行と権力の乱用」疑惑に対して音楽院が行動することを求める公開書簡に署名しているという。
ビーザーはボストン生まれの68歳。父親が物理学者、母親が化学者という糧で育ち、16歳でローマのアメリカン・アカデミーが贈る「ローマ賞」を史上最年少で受賞するなど、若くして音楽家として才能が認められた。イェール大学を1976年に首席で卒業している。
1986年に《マウンテン・ソング》でグラミー賞の「ベスト・コンテンポラリー部門」にノミネートされ、1993年に音楽院作曲科の教授兼学科長に就任。1999年のテレビ番組《愛の食べ物》の音楽は2000年の「エミー賞」にノミネートされた。
告発についてビーザーは「ニューヨーク・ポスト」紙に対して「私は自分の評判を守るため、ジュリアード音楽院の外部調査に参加することを望んでいます。学校がこのプロセスを終えるまで、私は教職を休職することに同意しています」というコメントを発表している。
写真:Royal Scottish National Orchestra / José Serebrier
ニューヨーク発 〓 ジュリアード音楽院が作曲科の科長ロバート・ビーザーをセクハラ疑惑で休職に
2022/12/25
- コメント: 0
この記事へのコメントはありません。