東京フィルハーモニー交響楽団(Tokyo Philharmonic Orchestra)が2023シーズンのラインナップを発表した。定期公演は8回で、名誉音楽監督のチョン・ミョンフン、首席指揮者のアンドレア・バッティストーニ、特別客演指揮者のミハイル・プレトニョフがそれぞれ2回ずつ指揮台に立ち、残りの2回を桂冠指揮者の尾高忠明、初来日となるフランスの女流指揮者クロエ・デュフレーヌが指揮する。
開幕公演となる1月の公演に登場するのはチョンで、シーズンを締め括る11月の公演の指揮はバッティストーニ。チョンは1月の公演では、シューベルトの第7番《未完成》とブルックナーの第7番(ノヴァーク版)を組み合わせた。2度目の登場は7月で、演奏会形式によるヴェルディ《オテロ》を指揮する。
一方、バッティストーニは、3月と11月の登場。3月はベルリオーズの序曲《ローマの謝肉祭》、サン=サーンスの交響曲第3番《オルガン付》に、2023年が生誕140年というカゼッラの狂詩曲《イタリア》を組み合わせる。11月は没後130年のチャイコフスキー・プログラム。幻想曲、幻想序曲に《ロココの主題による変奏曲》といった具合で、チェロの佐藤晴真をソリストに迎える。
新シーズンで目立つのは、旬の若手アーティストの起用。11月の公演に登場する佐藤は、2019年の「ARDミュンヘン国際音楽コンクール」のチェロ部門で日本人初の優勝を飾っている俊英。ヴァイオリンでも、2021年の「日本音楽コンクール」、2022年の「仙台国際音楽コンクール」では最年少の17歳で優勝した中野りなも登場する。
また、ピアノでは、今年に入って「マリア・カナルス国際音楽コンクール」で入賞した後、11月の「ロン=ティボー国際コンクール」で韓国のイ・ヒョクと第1位を分け合ったばかりの亀井聖矢に加えて、今年の「ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール」で優勝、初来日となるイム・ユンチャンも起用されている。
イムはプレトニョフが指揮する2月定期に登壇、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番《皇帝》のソリストを務める。2月はこれにチャイコフスキーのマンフレッド交響曲という組み合わせ。プレトニョフの2回目の登板は5月で、こちらは生誕150年&没後80年を迎えるオール・ラフマニノフ・プログラム。
3人以外に定期公演の指揮台に立つのは、桂冠指揮者の尾高忠明、フランスのクロエ・デュフレーヌの二人。尾高もラフマニノフ作品を中心にしたプログラムで、ソリストに亀井を迎えるピアノ協奏曲第2番、交響曲第1番に、実兄の故・尾高惇忠の代表作《オーケストラのためのイマージュ》を組み合わせている。
一方、デュフレーヌは、フィンランド・ヘルシンキのシベリウス音楽院で学び、2021年の「ブザンソン国際指揮者コンクール」で聴衆賞、オーケストラ賞を受賞した俊英。2024年のパリ五輪に向けたプロモーション映像でフランス国立管弦楽団を指揮していたことで話題を集めた。
今回はベルリオーズの幻想交響曲、サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番、生誕130年を迎える女性作曲家リリ・ブーランジェの《春の朝に》という組み合わせ。そのソリストに中野が起用されている。
写真:Takafumi Ueno
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東京発 〓 東フィルが2023シーズンのラインナップを発表
2022/11/29
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