訃報 〓 ウィリアム・ベネット(85)英国のフルート奏者

2022/05/13
【最終更新日】2023/02/06

英国のフルート奏者ウィリアム・ベネット(William Bennett)が11日に亡くなった。85歳だった。ロンドン交響楽団をはじめとする英国のオーケストラで首席奏者を歴任。ソリストとしても国際的に活躍、100枚以上のタイトルの録音を残しているレジェンド。1960年代後半にはフルート・メーカーと協力して、音程を改善した「ベネット・クーパー・スケール」を生み出したことでも知られる。

1936年、ロンドン生まれ。12歳でフルートを始め、15歳からロンドンでジェフリー・ギルバートに学び、ギルドホール音楽演劇学校に進んだ。2年間の兵役の代わりにスコットランド衛兵隊に勤務しながら学業を続け、21歳の時にフランス政府の奨学金を得てパリに留学、フェルナン・カラジェとジャン=ピエール・ランパルに師事した。

帰国後、BBCノーザン管弦楽団(現在のBBCフィルハーモニー管弦楽団)の初代首席フルート奏者に就任。その後、マルセル・モイーズに学び、サドラーズ・ウェルズ・オペラ管弦楽団、ロンドン交響楽団、イギリス室内管弦楽団、アカデミー室内管弦楽団の首席奏者を歴任した。多彩な音色、深みのある表現でフルートという楽器の新たな可能性を広げ、フルート界の第一人者としての評価を確立した。

後進の指導にも熱心で、1980年代にはドイツのフライブルク音楽大学でフルート科の教授を務め、その後、ロンドンの王立音楽院や世界各地のマスタークラス、35年を超える国際フルート・サマースクールなどで指導に当たった。1995年にはそれまでの功績で大英帝国勲章4等勲爵士(OBE)に叙せられている。

写真:williambennettflute.com


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