クラクフ発 〓 作曲家ペンデレツキの国葬が故郷クラクフで

2022/03/31

戦後のポーランドを代表する作曲家クシシュトフ・ペンデレツキ(Krzysztof Penderecki)の国葬が命日である29日に故郷クラクフで行われた。新型コロナの世界的流行で延期されていたミサが聖ペテロ・聖パウロ教会で執り行われ、ミサの終了後、作曲家の遺灰を納めた骨壷が国立パンテオンに安置された。

葬儀には、アンジェイ・ドゥダ大統領ら閣僚、エルツビエタ夫人や親族が参列。交響曲第7番《エルサレムの7つの門》から“深き淵より”、《セレナード》から“パッサカリア”、《ポーランド・レクイエム》から“アニュス・デイ”などが演奏された。また、作曲家から作品の献呈を受けている25年来の友人でもあったヴァイオリニストのアンネ=ゾフィー・ムターがバッハ=グノーの《アヴェ・マリア》を演奏している。

ペンデレツキは2020年3月29日、故郷クラクフで86歳で亡くなった。代表作「広島の犠牲者に捧げる哀歌」など150以上のオーケストラ作品や器楽コンチェルト、4つのオペラ、8つの交響曲を作曲。映画音楽にも大きな影響を与え、グラミー賞を4度受賞している。

クラクフで国葬が行われたのは、1937年にペンデレツキと同じ3月29日にスイス・ローザンヌで息を引き取った作曲家カロル・シマノフスキ以来で、ポーランドのカトリック教会のトップであるヴォイチェフ・ポラック大司教は「音楽界全体が音楽が人生をより良くすると信じていた人物に別れを告げている」と述べている。

ミサに出席する予定だったドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領は新型コロナの陽性反応を受けてメッセージの代読となったが、ポーランドのメディアでは特別番組が放映された他、YouTubeでの生中継も行われている。

写真:Gość Niedzielny / Adam Wojnar





関連記事

  1. ウィーン発 〓 国立歌劇場が新作の《カルメン》のストリーミング配信へ、カストロノーヴォの代役にベチャワ、ラチヴェリシュヴィリは現場復帰

  2. ミラノ発 〓 スカラ座が2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  3. アムステルダム発 〓 オランダ放送フィルが首席指揮者のカリーナ・カネラキスとの契約を再延長

  4. パリ発 〓 パリ国立オペラのトップ交代は9月に前倒し

  5. モスクワ発 〓 ロシアが第17回「チャイコフスキー国際コンクール」の開催を宣言

  6. ソウル発 〓 韓国国立響の次期芸術監督・首席指揮者にロベルト・アバド

  7. マリアーンスケー・ラーズニェ発 〓 “指揮者”ラデク・バボラークが西ボヘミア交響楽団の首席指揮者に

  8. ブリュッセル発 〓 エリザベート国際コンクールのヴァイオリン部門で、ウクライナのドミトロ・ウドヴィチェンコが優勝

  9. ニューヨーク発 〓 マリア・カラスの生涯を描いた伝記映画「マリア」が完成

  10. 訃報 〓 ラファエル・ロハス(59)メキシコ出身のテノール歌手

  11. ラスベガス発 〓 第64回「グラミー賞」発表

  12. フィレンツェ発 〓 ジェームズ・レヴァインの現場復帰がお預けに

  13. 訃報 〓 エリン・ウォール(44)カナダのソプラノ歌手

  14. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立歌劇場がシーズン閉幕を宣言、夏のミュンヘン・オペラ・フェスティバルも中止

  15. ナポリ発 〓 サン・カルロ劇場に新総裁、ムーティ招聘への布石?

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。